ソフトバンクGは最高益、日産と楽天は赤字継続 国内大手の決算が明暗

決算レポート

ソフトバンクグループ、日産自動車、楽天グループの主要3社が12日に決算を発表し、人工知能(AI)関連投資が奏功したソフトバンクグループ(SBG)が過去最高益を計上する一方、日産と楽天は構造改革や投資負担を背景に赤字が続く結果となりました。

SBGの2025年4〜12月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比約5倍の3兆1726億円と、同期間として過去最高を更新しました。主因は出資先である米オープンAIの企業価値上昇で、同社株式などに関する投資利益として2兆7965億円を計上し、AI関連企業に投資するビジョン・ファンド事業の投資利益も3兆円規模まで膨らみました。

12月時点でSBGはオープンAIに累計約346〜347億ドルを投じ、持ち株比率は約11%の大株主となっており、AIブームと世界的な株高が収益を大きく押し上げています。

一方でSBGは、巨額投資と並行して保有資産の現金化も進めており、米エヌビディア株やドイツテレコム株を売却したほか、半導体設計大手アーム株やソフトバンク株を担保にした借入枠の増額にも動いています。売上高は5兆円台半ばで前年同期比8%増と本業も拡大し、第3四半期まで4四半期連続の黒字を確保しました。

後藤芳光CFOは決算説明会で、AI分野、とりわけASI(人工超知能)の実現に向けたプラットフォーム構築に引き続き注力する方針を示し、オープンAIについて「非常に順調」との認識を示しました。

これに対し、日産自動車の2026年3月期連結最終損益は6500億円の赤字見通しで、前期の6708億円に続き2期連続の巨額赤字となる見込みです。工場の集約や人員削減などの構造改革費用が重く、事前の市場予想(赤字幅3000億円前後)を大きく上回る水準での最終赤字計上となります。

もっとも、同社は研究開発費や生産コストの削減、想定以上の円安進行により、売上高11兆9000億円(前期比6%減)、営業損益600億円の赤字という従来予想を上方修正しており、営業段階での収益改善も見せています。25年4〜12月期は売上高が8兆5779億円、最終損益は2500億円規模の赤字となるなど、販売不振の影響はなお残るものの、自動車事業の営業赤字やフリーキャッシュフローは縮小しつつあります。

イバン・エスピノーサ社長は記者会見で「販売環境は厳しいが、断固たる改革が事業の安定化と回復の道筋につながっている」と述べ、27年3月期までに自動車事業の営業損益とフリーキャッシュフローの黒字化を目標に掲げました。

楽天グループの2025年12月期連結決算は、純損益が1778億円の赤字と7期連続の最終赤字となりました。前期に出資先の衛星通信関連会社などで計上した評価益が剥落したことが響き、赤字幅が拡大した一方で、売上収益は2兆4965億円と前期比9.5%増え、過去最高を更新しました。

携帯電話事業では基地局投資が利益を圧迫し続けているものの、回線契約数の増加で損失は縮小しています。本業の収益力を示す営業利益は143億円と2年連続の黒字となり、「楽天市場」や「楽天トラベル」などのECや旅行、金融サービスが増益をけん引しました。

三木谷浩史会長兼社長はオンライン説明会で、携帯回線ユーザーがECや金融にも横断的にサービスを利用することで「顧客の利用度アップが営業黒字確保の大きな要因だ」と分析し、AI活用による業務効率化も寄与したと説明しました。26年12月期の業績予想については具体的な数値を示しておらず、携帯事業の黒字転換時期や投資負担の行方が今後の焦点となります。

AI投資と構造改革が左右する企業の行方

3社の決算は、AI投資を追い風とする企業と、既存事業の立て直しに苦しむ企業とのコントラストを浮かび上がらせています。

SBGはオープンAIを軸としたAI投資の成果が利益に直結し、保有資産の入れ替えとレバレッジ活用を通じて、リスクを取りながら成長機会を取り込む戦略を明確にしています。ただし、評価益に依存した利益構造は市場環境の変動リスクも抱えており、足元の好業績を持続的なキャッシュ創出につなげられるかが問われます。

一方、日産は北米を中心とした販売不振と巨額の構造改革費用を同時に抱えつつも、コスト削減と事業ポートフォリオの見直しで営業段階の赤字縮小を進める局面にあります。27年3月期までの自動車事業黒字化という目標が示されたことで、投資家は改革の進捗や新車投入、電動化戦略の実行力を厳しく見極めることになりそうです。

楽天はモバイル事業の先行投資がなお重いものの、EC・金融・旅行などのデジタルサービス群が売上・営業利益を押し上げる「エコシステム」の成果が可視化されてきています。AIによる業務効率化や顧客データの活用が収益改善に寄与しているとの説明もあり、モバイル事業の赤字縮小と合わせて、どこまで最終損益の改善につなげられるかが中長期の焦点です。

日本企業全体では、AIやデジタルをてこに高収益化を図る動きと、成熟した自動車・通信などの既存事業を再構築する動きが同時進行しており、今回の3社の決算はその象徴的な一例と言えます。

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