沖縄・辺野古沖の船転覆事故 学校側が無登録営業を把握せず 波浪注意報下の出航判断は船長に一任

辺野古の海

京都府京田辺市の同志社国際高校の修学旅行で、沖縄県名護市辺野古沖を航行していた小型船2隻が転覆し、女子生徒(17)と船長の男性(71)が死亡した事故で、学校側が事前に海上運送法に基づく事業登録の有無を確認していなかったことが分かりました。

事故が起きた3月16日、現場海域には波浪注意報が発表されており、出航の可否判断は現地の船長に委ねられていたと学校側が会見で説明しています。転覆したのは「平和丸」と「不屈」の2隻で、同志社国際高校2年生18人と乗組員ら合わせて21人が乗船していました。2隻は名護市辺野古の漁港を出港し、周辺海域を周遊中に相次いで転覆し、全員が海に投げ出されましたが、女子生徒1人と船長が後に死亡、他の生徒2人もけがを負いました。

学校側によると、事故当日は2年生約270人が複数のコースに分かれて平和学習の一環として研修を行っており、その一つとして辺野古沖の船上見学が実施されていました。乗船していた生徒の引率教員2人は、乗船しない生徒への対応を理由に陸上に残り、海上での安全管理は運航側に委ねられていました。

気象状況について、第11管区海上保安本部は、当時現場付近では風速約4メートルの風が吹き、波浪注意報が発表されていたと説明しています。海難事故の専門家は、転覆地点がサンゴ礁(リーフ)付近で波が大きくなりやすい地形であり、うねりを伴う波によって小型船があおられた可能性を指摘しています。​

海上運送法の無登録運航が判明 第三者委員会で安全管理体制を検証へ

その後の取材で、転覆した2隻が海上運送法に基づく「内航一般不定期航路事業」の登録を受けていなかった疑いが浮上し、第11管区海上保安本部が同法違反容疑で捜査を開始しました。同法では、対価を得て人を運送する場合、船舶が安全基準を満たした上で国への登録が義務付けられており、違反した場合は1年以下の拘禁刑または150万円以下の罰金が科される可能性があります。

運航を担っていたのは、辺野古沖で新基地建設に反対する活動に用いられてきた抗議船で、船長の男性は日本基督教団の牧師として、10年以上にわたり学生らを辺野古沖に案内してきたとされています。一方で、学校側は長年の研修旅行の延長として依頼したと説明しており、海上運送法上の事業登録の有無について「把握していなかった」として、事前の安全確認が不十分だったことを認めています。

同志社国際高校は、創立以来続けてきた沖縄での研修旅行の中で、昨年度から辺野古沖の船上見学を新たに導入していました。西田喜久夫校長は17日の会見で、「不慮の事故で生徒が亡くなったことに心よりおわび申し上げる」と述べるとともに、出航判断を船長の裁量に委ね、「信頼関係から大丈夫だと判断した」と説明しました。

事故を受け、学校側は今月中をめどに外部有識者による第三者委員会を設置し、事故の経緯や安全管理体制の検証を進める方針です。国土交通省も、事業登録が必要な運航に該当するかどうかを含め、実態を早期に確認する考えを示しており、学校側と運航側双方の安全管理の在り方が今後の焦点となっています。

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