NHKのかんぽ生命保険不正販売報道を巡る議事録公開訴訟で、東京高裁は経営委員会が自ら議事録を一般公開することを柱とした和解を成立させました。これにより、番組編集への介入疑惑に関わる議事録が、12月18日に経営委のホームページで公開されました。
1審判決では、NHK側が削除を主張していた録音データの存在が認められ、開示が命じられていました。和解条項には、議事録公表に加え、森下俊三前委員長が市民グループ側に解決金98万円を支払う内容も盛り込まれています。
専修大の山田健太教授は、森下俊三氏らが主導して番組への干渉を行ったことは放送法違反に当たると指摘。議事録の一般公開によって、経営委での問題発言が認められることになり、個別番組への干渉の有無を議論する土台が整ったと評価しています。
今回の和解は、NHKの公共放送としての在り方が問われる重要な転機といえそうです。経営の透明性を高め、視聴者の信頼を取り戻す努力が求められています。
ネット上では、「NHKとNHK経営委員会、場合によっては政治権力との不透明な関係性が、これで少しは明らかになるだろう」「NHKはむしろ公共放送としてきちんとかんぽ押し売り事件は報道しなければならない」「これはNHKの脅迫だと思う」などの意見が寄せられています。
NHKは18日、経営委員会の議事録を公開
NHKは18日、2018年に放送されたかんぽ生命保険の不正販売を報じた番組を巡る経営委員会の議事録を公開しました。議事録からは、当時の経営陣が番組制作現場に不当な圧力をかけていた疑惑が浮かび上がります。
公開された未公表部分によると、森下俊三経営委員長代行は問題の番組に対し「インターネットだけで取材」「取材はほとんどしていない」と事実に反する批判を繰り広げ、石原進経営委員長とともに上田良一会長を厳重注意したといいます。
放送法では経営委員の個別番組への介入は禁じられており、同法違反の疑いが指摘されていました。これに上田良一会長は、「外部の圧力で番組を批判するようでは、NHKの存亡の危機だ」と反論しましたが、経営サイドは受け入れなかったようです。
議事録の公開は、市民団体がNHKと森下俊三氏を相手取った訴訟の和解条項に盛り込まれたものです。森下俊三氏は原告側に解決金98万円の支払いに応じています。
番組編集の自由と自立性を守るためにも、NHKはガバナンス改革を進め、国民の信頼を取り戻す必要があります。