
三重県御浜町の特別養護老人ホーム「エイジハウス」において、職員による入居者への虐待行為が複数件確認され、いずれも虐待として認定されていたことが9月18日までに明らかになった。この事件は、高齢者虐待の深刻性と、施設の通報義務に関する問題を浮き彫りにした。
町の調査によると、今年4月には50代の男性職員が80代の女性入居者の着替えを介助する際、女性が抵抗したため髪の毛をつかんで体を揺さぶる行為を行った。また、昨年9月には別の30代の男性職員が、廊下を歩き回っていた80代の女性入居者に対して罵声を浴びせ、体をソファに押しつけて無理やり座らせる行為も確認された。
これらの虐待行為は、今年6月に関係者からの情報提供により発覚した。町は7月までに職員への聞き取り調査を実施し、その結果として両事例を虐待と認定している。
特に注目されるのは、施設側の対応である。施設長は取材に対し「虐待との認識はあったが、町に通報するまでのものではないと判断した」と述べており、高齢者虐待防止法で義務付けられている通報義務に対する理解不足が浮き彫りになった。
全国で増加する高齢者虐待事件 背景に人員不足とストレス
この事件は、全国的に深刻化している高齢者虐待の実態の一端を示している。厚生労働省が公表した令和5年度の調査結果によると、養介護施設従事者等による高齢者虐待と認められた件数は1,123件で、前年度より267件(31.2%)増加している。
虐待の要因として、「職員の虐待や権利擁護、身体拘束に関する知識・意識の不足」や、「職員のストレス・感情コントロール」、「職員の倫理観・理念の欠如」が多く挙げられている。また、虐待の発生時間帯では、夜間(夕食後-起床前)での発生が4割弱を占め、日中よりも2割程度多いことが明らかになっている。
高齢者虐待の増加は、介護人材の慢性的な不足や職場環境の悪化、適切な研修体制の不備などの構造的問題と密接に関連している。介護現場では人員不足による業務負担の増大や、十分な教育・指導が行き届かない状況が常態化しており、これが虐待の温床となっているケースが多い。
令和5年度の調査では、被虐待高齢者2,335人のうち「身体拘束あり」が25.6%、「身体拘束なし」が74.4%で、虐待の程度(深刻度)では「2(中度)」が59.7%と最も多くなっている。また、虐待の再発件数も増加傾向にあり、根本的な問題解決の困難さを物語っている。
今回の三重県御浜町の事件は、施設職員の意識改革とともに、管理体制の強化や通報義務の徹底が急務であることを改めて示す事例となった。高齢者の尊厳を守るため、介護業界全体での取り組み強化が求められている。









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