
韓国の政界に激震が走りました。高官犯罪捜査庁(高捜庁)が1月19日、現職の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を内乱首謀容疑で逮捕したのです。この前代未聞の事態に、国民は驚きを隠せません。
容疑の発端は、尹錫悦氏による「非常戒厳」宣言でした。ソウル西部地裁は証拠隠滅の恐れを理由に、19日未明に逮捕状を発付。韓国史上初の現職大統領逮捕という事態に発展したのです。
逮捕に反発した尹錫悦氏の支持者の一部は暴徒と化し、地裁に乱入しました。建物内外で破壊活動を行うなど、司法を軽視する行為に及びました。このような異常事態に、社会には大きな衝撃が走っています。
一方、尹錫悦氏は拘置所から弁護団を通じて、支持者に平和的な意思表明を呼びかけました。「司法手続きで非常戒厳の正当性を明らかにし、決して諦めない」と強い決意を示したのです。
今後、最長20日間の身柄拘束の中で捜査が進められ、尹錫悦氏の起訴は避けられない情勢です。19日に高捜庁から取り調べの通告を受けた尹錫悦氏でしたが、これに応じることはありませんでした。
この事態が韓国の政治や社会にどのような影響を及ぼすのか、世界が注視しています。ネット上では、「現職の大統領を逮捕するのは驚いた」「こんなことがまかり通るなんて民主国家じゃない」「こりゃ、また大荒れになる」などの意見が寄せられています。
支持者の一部が暴徒化 「逮捕令状は違法だ」と批判
現職の尹錫悦大統領が逮捕されたことを受け、支持者の一部が暴徒化しています。消火器を投げつけるなどの破壊活動を行い、86人もの拘束者が出る事態となりました。
尹錫悦氏は支持者に平和的な意思表示を求める一方で、独房での拘束生活を送っているとのこと。証拠隠滅の恐れを理由に逮捕状が出された背景には、尹錫悦氏が携帯電話を交換し、通信アプリを退会していたことなどがあります。
この状況に、抗議する韓国国民もいれば、歓迎するものまでいます。逮捕に抗議する支持者と歓迎する市民、合わせて4万人もの人々がソウルの広場に集結しました。
支持者の中には、トランプ前大統領の支持者が使用していた「STOP THE STEAL」のプラカードを掲げる姿も。対して歓迎する市民からは「戒厳令は国民の基本権を侵害する違反行為だ」といった声が上がっています。
尹錫悦氏の弁護団は「司法の良心を信じたかった」と嘆く一方、支持者は「逮捕令状は違法だ」と捜査当局を批判しています。
高捜庁の関係者は20日、尹錫悦氏を拘置所から強制的に連行し取り調べを行うことを検討していると明らかにしました。韓国の法務省によると、尹錫悦氏は逮捕後、3.7坪ほどの独房に移り、マグショットの撮影にも応じたといいます。