
オリオンビール(豊見城市、村野一社長)が9月25日、東京証券取引所のプライム市場に上場を果たしました。これは沖縄県内製造業としては史上初の東証上場となる記念すべき快挙で、株式の売り出し価格は1株当たり850円に設定されています。
同社は1957年の創業から68年の歴史を持つ沖縄県を代表する企業として、「オリオン」ブランドを展開する酒類清涼飲料事業と観光・ホテル事業を手がけています。2019年に野村ホールディングスと米投資ファンドのカーライル・グループの傘下となって以来、積極的な成長戦略を推進してきました。
2025年3月期のオリオン単体決算では、売上高が前期比12%増の約278億円で過去最高を記録し、経常利益も同36%増の約42億円となるなど、着実な業績拡大を実現しています。特に注目すべきは県外・海外・EC事業の高い成長率で、県外販売の年平均成長率は21%、海外事業は38%、EC事業に至っては58%という驚異的な伸びを示しています。
企業価値向上への取り組みも顕著で、沖縄県内ビール販売シェア83.8%という圧倒的な地位を維持しながら、観光客認知度96.9%という高いブランド力を活用した事業展開を進めています。若者に人気のロゴTシャツは沖縄観光のアイコンとして定着し、2022年に発売した「オリオン ザ・プレミアム」では高付加価値化戦略も推進しています。
海外展開とブランド戦略で持続成長を追求
オリオンビールの上場は、単なる資金調達を目的としたものではなく、県外・海外市場への本格進出を見据えた戦略的な判断です。同社が公表した中長期経営方針では「沖縄と共に循環成長するビジネスモデルの強化」を目標に掲げ、売上高年平均成長率約5%、EBITDAマージン約24%、ROE約15%という野心的な数値目標を設定しています。
海外事業戦略では「Resort×Japan Quality」をキーワードに、台湾、オーストラリア、アメリカ、韓国など各国の市場特性に応じた差別化戦略を展開しています。2024年2月からはイギリスでのライセンス生産も開始し、現地パートナーとの関係強化を通じて販路拡大を図っています。代理店との連携強化やプレミアム化推進により、海外市場における独自ポジションの確立を目指しています。
県外市場では、アサヒビールとの業務提携を基盤として販売ネットワークの拡充を進めています。沖縄観光の想起効果を活用したマーケティング戦略により、沖縄料理店以外への販路拡大も実現しています。RTD(低アルコール飲料)分野でも地域有力スーパーとの連携を強化し、商品ラインアップの拡充を図っています。
観光・ホテル事業では、近鉄グループとの資本業務提携に基づく協力体制を構築し、2025年7月に開業した大型テーマパーク「ジャングリア沖縄」との連携により、拡大するインバウンド需要の取り込みを強化しています。沖縄県北部リゾートエリアへの経営資源集中により、アセットライト化と資産効率向上を同時に実現する方針です。
しかし、2026年10月には沖縄県限定で適用されてきたビール系酒類の軽減税率が撤廃される予定で、同社にとって重要な試練が待ち受けています。この税制優遇措置の終了を見据え、県外・海外事業の拡大と収益性向上が喫緊の課題となっています。沖縄大学の徐磊准教授は「上場によるブランド価値向上と観光事業への投資により、波及効果を持続させる余地は大きい」と評価しており、今後の成長戦略の実行力が注目されています。








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