
自民党の高市早苗総裁は2025年10月7日、臨時総務会で新執行部の人事を正式決定し、党史上初めて女性が総裁と務める執行部体制をスタートさせました。今回の人事では幹事長に麻生派の鈴木俊一総務会長(72)、政調会長には総裁選で4位だった小林鷹之元経済安保相(50)を起用するなど、挙党一致を目指した布陣となりました。
注目を集めているのが、旧安倍派の萩生田光一元政調会長(62)を幹事長代行に起用した点です。萩生田氏は派閥の裏金事件に関与した旧安倍派の実力者「5人衆」の一人で、2024年4月に党の役職停止1年の処分を受けた経歴があります。さらに今年8月には同氏の政策秘書が政治資金規正法違反で罰金30万円の略式命令を受けており、野党からは処分を受けた議員の主要ポスト起用に対する批判が予想されます。
その他の主要人事では、総務会長に麻生派の有村治子元女性活躍相(55)、選挙対策委員長に高市氏に近い古屋圭司元国家公安委員長(72)をそれぞれ起用しました。副総裁には党運営における「最大の功労者」と評される麻生太郎元首相(85)の就任が内定しており、高市政権の基盤強化に重要な役割を果たすとみられています。
連立政権を巡る微妙な状況も浮上しています。公明党の斉藤鉄夫代表は、高市氏の保守的な政治姿勢について懸念を表明。特に靖国神社参拝や歴史認識問題、企業・団体献金の規制強化など「不安の解消なくして、連立政権はない」と厳しい姿勢を示しています。
一方で、高市氏は連立の枠組み拡大にも意欲を見せており、国民民主党の榛葉幹事長と麻生最高顧問が6日に水面下で調整を行うなど、新たな連携の模索も始まっています。今月中旬に召集される臨時国会での首相指名に向けて、政治情勢は流動的な状況です。
新執行部の課題と今後の展望
高市新執行部は、発足と同時に複数の困難な課題に直面しています。最も重要なのは公明党との連立協議で、執行部発足直後から公明党側との調整が本格化する見通しです。
政治とカネの問題についても、萩生田氏の起用は高市総裁の「全員活躍」方針を示す一方で、野党からの追及材料となることは避けられません。立憲民主党は裏金問題に関与した議員の重要ポスト起用に疑問を呈しており、今後の国会運営における火種となる可能性があります。
高市氏は「働いて、働いて、働いて、働いてまいります」と述べ、政権運営に全力で取り組む姿勢を示しました。女性初の総理大臣誕生への期待が高まるなか、新執行部がこれらの課題をどのように乗り越えていくかが注目されています。








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