
バイデン米大統領とマッカーシー下院議長は27日、米政府債務の法定上限を引き上げることで基本合意しました。マッカーシー氏は31日に議会で採決すると表明し、その決定が認められれば、市場で懸念されていた米国債のデフォルト(債務不履行)は回避される見通しです。
バイデン大統領は同日、「合意は破滅的なデフォルトの可能性を回避するもので、米国民にとって良い知らせだ」と強調しました。マッカーシー氏は「まだやるべきことはたくさんあるが、これが米国民にふさわしい合意であると信じている」とコメントしています。
新型コロナウイルス感染症による支出増加などを受け、政府の財政状況は急速に悪化し、債務残高は今年1月に法定上限に到達しました。米財務省は基金の運用を変更するなどして資金繰りを続けてきましたが、イエレン財務長官はこれらの手段が6月5日に行き詰まると警告しています。
報道によると、合意案は社会保障を除く「裁量的支出」について2年間の支出を抑制するのと引き換えに、2025年までの時限措置として、現行の上限である約31兆4,000億ドルを超える債務残高を認めるとのことです。
この決定についてマッカーシー氏は、「歴史的な支出の削減になる」と強調しましたが、具体的な合意内容については明らかにしませんでした。報道では、この合意には低所得者向けの食糧支援プログラムの支給要件を厳格化することが含まれている、と伝えられています。
ネット上では、「これで少なくとも今後2年は債務上限問題が棚上げされるだろう」「これで終わりではなく、中身がわからない現状だとなんとも言えない」「株価はあまり期待しない方がいい」などの声が寄せられています。
米債務の上限問題|2021年に2兆5,000億ドル引き上げ
2021年12月15日、債務の法定上限について2兆5,000億ドル引き上げる法案が可決され、翌16日にバイデン大統領の署名を経て成立しました。これで法定上限は約31兆4,000億ドルとなりましたが、2023年1月19日に政府の債務残高が法定上限に到達。
このため、米財務省は一部の公的年金基金への新たな資金拠出を制限するなど、特例措置を講じて手元資金をやり繰りしました。当時は、「上限の引き上げや適用停止を決めなければデフォルト(債務不履行)に陥る」と言われており、さらに大手銀行の経営破綻などが生じたことで、米国の金融市場が不安に包まれていました。
しかし今回、法定上限の引き上げを基本合意したことで、「本当に良かった」という声が寄せられています。その一方で、「プロレスだったのでは?」「さらに円安が進む」などの意見も見られています。