第76回カンヌ国際映画祭の授賞式が現地時間27日に行われました。開催場所はフランスで、是枝裕和監督作『怪物』で脚本家の坂元裕二氏が脚本賞を受賞しました。
日本人が脚本賞を受賞するのは、2021年の『ドライブ・マイ・カー』以来で2年ぶりです。帰国した坂元裕二氏に代わり、ステージに上がった是枝裕和監督は「ありがとうございます。一足早く、日本に帰った坂元裕二さんにすぐ報告します」と歓喜のコメントを添えました。
さらに続けて「初めにこの作品のプロットをもらい、そこに描かれた二人の少年たちの姿をどのように映像にするかと考えたとき、あの少年二人を受け入れない世界の側にいる大人の一人として、少年の目に見返えされるという形で取り組むことしか、誠実なスタンスを見つけられませんでした。だからこそ1ページ目に“世界は生まれ変われるか”という一文を書きました」と述べています。そして「スタッフ、キャストみんなの力でこの賞をいただけたと思っております。ありがとうございました」と語り、拍手を浴びました。
是枝裕和監督作品がコンペ部門に選出されたのは、韓国映画の『ベイビー・ブローカー』に続いて2年連続です。2018年に『万引き家族』で最高賞のパルムドールに輝いた監督だけあり、今回も受賞が期待されていました。
ネット上では「坂元裕二さんの1ファンとして本当に受賞嬉しいです」「坂元裕二さん、本当におめでとうございます」「坂元さんの描く独特な世界観が好き」など、温かいコメントで溢れています。
『パーフェクトデイズ』に出演した役所広司氏が男優賞を受賞
第76回カンヌ国際映画祭では、日本映画の『パーフェクトデイズ』に出演した役所広司氏が男優賞を受賞しました。日本人の男優が男優賞を受賞したのは、2004年の『誰も知らない』の柳楽優弥氏に次いで2人目です。
『パーフェクトデイズ』は、ドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダース監督の新作映画です。渋谷の公共トイレを題材に、清掃員の日々を描いた長編映画。東京のトイレを刷新しようという「THE TOKYO TOILETプロジェクト」の一環として制作されました。
このプロジェクトは、渋谷区にある17の公共トイレを、世界的に有名な建築家たちの設計で快適に改修しようというものです。ヴィム・ヴェンダース監督は同プロジェクトについて、「日本の公共トイレは快適で、自分たちにはない文化」とコメントしています。
斬新なデザインのトイレを主人公が丹念に掃除する姿を描写している作品ですが、ヴィム・ヴェンダース監督は「これはスピリチュアルな映画」と述べています。