日産自動車の元会長であるカルロス・ゴーン氏は、日産などを相手にレバノンで損害賠償訴訟を提起しました。その主な理由は名誉毀損や証拠捏造によるもので、要求額は10億ドル(約1,400億円)にも上ります。
これには報酬の喪失分や諸費用の賠償として5億8,800万ドル、さらに懲罰的な措置として5億ドルが含まれています。審理の開始日は9月18日です。
2018年に日本で逮捕され、国外逃亡を果たしたカルロス・ゴーン元会長は、逮捕容疑は日産の幹部による仏自動車大手ルノーとの合併阻止のためのでっちあげだ、と主張しています。また、オマーンの自動車販売代理店を通じてルノーの資金を横領し、豪華ヨットなどの購入に充てたという疑惑も浮上しています。
それに対し、フランス当局はカルロス・ゴーン元会長に国際逮捕状を出しましたが、彼は横領を繰り返し否定。その真偽については、今後の法廷で明らかになることでしょう。
カルロス・ゴーン元会長が逮捕された背景
カルロス・ゴーン元会長は、2018年11月に有価証券報告書に報酬を過少報告した疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。130日間にわたって身柄を拘束され、日産の資金を不正に支出した特別背任の罪で起訴されたのです。しかし、カルロス・ゴーン元会長はこの行為を否定しています。
その後、日産の資金をオマーンの知人に流出した疑いが持たれ、彼は再逮捕されました。その期間は合計108日間にまでおよび、2019年4月まで拘留された後に再び保釈されています。
逮捕当時、カルロス・ゴーン元会長は日産とルノーの会長を務め、三菱自動車を含むアライアンスのトップでもありました。彼のコスト削減策は批判もありましたが、最終的に日産を救う結果をもたらし、尊敬と注目を浴びるようになりました。
しかし、その地位から陥落。保釈中の2019年12月に、カルロス・ゴーン元会長は中東のレバノンに逃亡しました。東京地検特捜部は不正に出国したとの疑いで、逮捕状を取っています。
彼が日本から逃亡したときの状況については、「機内の箱の中で離陸を待った30分間が、人生で最も長く感じた待ち時間だったかもしれない」と述べています。さらに「日産がルノーの影響から逃れようとした中で巻き添えの被害を受けた」とも述べ、ルノーが日産の株式を43%保有している事実を明らかにしました。