
政府が掲げる「資産運用立国」の実現に向けて、金融業界全体が大きく動き出しています。10月21日、「Japan Weeks 2025」の中核イベントとして「資産運用フォーラム2025年度年次会合」が開催されました。一般社団法人資産運用フォーラムは「資産運用立国の実現に向けたステートメント」を公表しています。
本年の年次会合は日本橋三井ホールで開催されました。国内外の資産運用会社、アセットオーナー、関係事業者、機関投資家らによる継続的な対話と議論が重ねられ、その成果が集約されました。公表されたステートメントには、日本政府が掲げる「資産運用立国」の実現に向けた取り組みを背景に、業界関係者自身が考える現状の課題の共有と解決のための方向性が盛り込まれています。
4つの分科会では、「日本企業の価値向上と地方含む日本への投資促進」「オルタナティブ投資」「資産運用業のデジタルトランスフォーメーション」「サステナブルファイナンス」などが議論されました。
「Japan Weeks 2025」は、資産運用立国や国際金融センターの実現に向けて、金融庁が海外投資家等とのコミュニケーションを強化するために開催している取り組みです。3回目の開催となる今回は、10月20日から10月24日をコアウィークとし、前後の週を含めてさまざまなイベントが行われました。
金融庁長官の井藤英樹氏は、資産運用立国のコンセプトについて「成長と分配の好循環を実現し、我が国経済の成長と国民の資産所得の増加につなげていく」と説明しています。その仕組みは、家計が資金を貯蓄から投資へシフトし、販売会社が多様な資産形成手段を提供し、運用会社等が受益者の最善の利益に向けて資金を運用するというものです。
資産運用立国実現へ、金融リテラシー向上と業界連携が鍵
資産運用立国の実現には、国民一人ひとりの金融リテラシー向上が不可欠です。そのため、2024年4月に金融経済教育推進機構(J-FLEC)を設立しました。J-FLECは、金融広報中央委員会(事務局:日本銀行)、全国銀行協会、日本証券業協会を発起人とし、幅広い年齢層に向けて国民各々のニーズに応えた金融経済教育の機会を官民一体で全国的に拡充していく組織です。
政府は「国民の安定的な資産形成の支援に関する基本的な方針」を閣議決定しました。金融経済教育を受けたと認識している人の割合について、現在の7%から2028年度末までに米国並みの20%へ引き上げることを目指しています。
今回公表されたステートメントと金融教育の推進により、業界の透明性と国民の金融リテラシーが向上し、「成長と分配の好循環」の実現につながることが期待されます。国民の安定的な資産形成を支援する取り組みは、今後さらに本格化していくことでしょう。


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