
海上保安庁清水海上保安部と名古屋税関清水税関支署、静岡県警は2025年10月24日、静岡市の清水港に寄港した大型外国貨物船の船底からコカイン約20kgを発見し、押収したと発表しました。押収されたコカインの末端価格は約5億円に上るとされています。
このコカインは、2025年7月に海外から来た貨物船の経由地などから判断して立ち入り調査を実施した際に発見されました。潜水士が水深約12メートルの船底に設けられた海水の取り入れ口から、ボストンバッグに入ったブロック状のコカインを引き揚げたということです。
このような密輸手口は「パラサイト型」と呼ばれており、船の乗組員に気づかれないまま船底に薬物を隠して密輸する方法です。出港前に密輸グループのメンバーが海に潜って船底に薬物を隠し、目的の港に貨物船が到着後、再び海に潜って薬物を回収するという巧妙な手口とされています。このパラサイト型密輸の摘発は全国で2例目となりました。
違法薬物の密輸事件は相次いで発生しています。2025年9月までに、九州厚生局麻薬取締部と大分県警は、指定薬物「エトミデート」の粉末約100グラムをシンガポールから成田空港に密輸しようとした疑いで、中国籍の男3人を逮捕しました。この逮捕は2025年10月10日までに発表され、エトミデートの密輸事件での摘発は全国で初めてのことです。
エトミデートは海外で麻酔薬や鎮静剤として使われている一方、日本では未承認の薬物です。中国で公開された映像では、この成分が含まれた危険ドラッグの影響により、人々がまるでゾンビのようにふらふらと歩く異様な姿が記録されており、「ゾンビたばこ」とも呼ばれています。
また、2025年10月27日には、イギリス国籍のスチュワート・クーパー被告(61)が、アメリカから成田空港に覚醒剤約30kgを密輸しようとした疑いで起訴されました。東京税関成田税関支署によると、押収された覚醒剤の末端価格は約17億円相当で、成田空港で単独の旅行客から押収された覚醒剤の量としては過去最多だということです。
違法薬物の密輸が深刻化
財務省によると、全国の税関における2025年1月から6月までの違法薬物の摘発件数は531件で、前年同期比6%増となりました。押収量は約2073kgで前年同期比33%増となり、上半期で押収量が2トンを超えたのは初めてのことです。この状況について、専門家は極めて深刻だと指摘しています。
法科学研究センターの雨宮正欣所長は、「密輸の形態というのは、密輸する方がいろんな悪知恵を働かして、巧妙化していく傾向にありますから、どんどん増えていく可能性。これは否定できないと思います」と述べ、今後さらに深刻化する恐れがあると警告しています。




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