中国人民銀行が10ヶ月ぶりに金利引下げ 経済活動を刺激するのが狙い

中国人民銀行(中央銀行)は6月20日、10ヶ月ぶりとなる金利引き下げを行いました。これにより、政策金利としての位置づけを持つ最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)の1年と5年超がそれぞれ下がりました。

金利の変更については、期間1年のLPRは年3.65%から年3.55%に、同5年超の金利は年4.30%から年4.20%に引き下げとなります。この利下げは、現在の不動産市場の低迷や景気の回復ペースの鈍化に対応し、経済活動を刺激するのが狙いです。

中国人民銀行の易綱総裁は7日の座談会で、金融調節で景気下振れリスクの抑制に力を入れていくと述べ、中国人民銀行の政策意向を示しました。これは、中国経済が現在減速しており、不動産販売や新たな開発ニーズが伸びず、建材の生産も振るわない状況に対処するためのものです。

また、新型コロナウイルス感染症の影響から節約志向が強まり、民間企業の固定資産投資は1〜5月の累計で前年同期比減少に転じています。この結果、5月の銀行などによる新規融資額は前年同月比で28%減少し、資金需要が低下しました。

一方で、物価上昇率の低下によるデフレ懸念があります。このような状況を受け、中国人民銀行は金利を引き下げ、家計や企業の借り入れ需要を増やし、経済を下支えしたい意向を示しています。

日本の金融状況|日銀が大規模な金融緩和の維持を決定

中国の中央銀行が金利の引き下げを実施しましたが、日本の金融状況はどのようになっているのでしょうか?日本銀行は6月16日まで行われていた会合にて、大規模な金融緩和の維持を決定しました。

これにより、短期金利はマイナス0.1%、長期金利は0%程度を維持することとなります。金融緩和策の維持は、全員一致で決まりました。

日銀の植田総裁はそのあとの会見で、「長短金利操作、いわゆるYCCのもとでの金融市場調節方針について、長短金利操作の運用も含め、現状維持とすることを全員一致で決定しました」と、決定の背景などを説明しています。

大規模な金融緩和の維持を受け、年内に米国の金利が2回上がると見込まれ、日本と米国の金利差が拡大していくとの思惑から、東京外国為替市場では一時「1ドル=140円台後半」まで円安が進みました。

また、東京株式市場ではこの決定を受けて安心感が広がり、午後から買い注文が増え、その結果、日経平均株価は上昇傾向にあります。日本銀行の大規模緩和の維持による経済影響が注目されています。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 「子どもの適切な睡眠時間とは?とくに幼稚園児について」ライター:秋谷進(東京西徳洲会病院小児医療センター)
    睡眠はとても重要です。経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本は先進国の中で、睡眠時間が最も…
  2. 2024年1月、日本の主要な電力会社5社の電気料金が値上がりすることが予想されています。この電気料金…
  3. イスラエルとイスラム組織ハマスは、ガザ地区での戦闘休止期間を11月30日に1日延長することで合意しま…

過去よく見られている記事

  1. 新宿矯正展

    2023-8-30

    新宿矯正展とは?刑務所で作られた製品が多数販売!主催の府中刑務所についても紹介

    2023年8月3日(木)〜9日(水)にかけて、およそ3年ぶりに新宿矯正展が開催されました。現地の様子…
  2. 青森刑務所内で開催された受刑者向け慰問活動『えんぶり』と観覧する受刑者たち

    2023-8-28

    青森刑務所内で4年ぶりに受刑者向け慰問活動『えんぶり』が開催

    2023年7月26日(水)青森刑務所内の講堂にて行われた八戸朳(えんぶり)研賛会による『えんぶり』と…
  3. 2023-4-11

    30〜70歳代の貯蓄ゼロが約2〜3割 貯蓄を増やすための効果的な節約術とは

    金融広報中央委員会は2023年2月、「家計の金融行動に関する世論調査2022年(二人以上世帯調査)」…

【結果】コンテスト

東京報道新聞第3回ライティングコンテスト (結果発表)

インタビュー

  1. 柳沢有紀夫氏|海外書き人クラブのお世話係
    『海外書き人クラブ』という世界各国で活躍する日本人ライター集団のお世話係として活動する柳沢有紀夫氏。…
  2. 演歌歌手・琴けい子
    演歌歌手生活40年を越えた琴けい子氏が、デビュー当時から精力的に行っているのが全国の刑務所を巡るボラ…
  3. 寺田真理子
    メンタルヘルスの問題に悩む人は多い。一見すると万事順調に見える人がうつ病を経験していることも珍しくな…
ページ上部へ戻る