
フランス・パリのルーブル美術館で10月19日に発生した宝飾品窃盗事件で、フランス捜査当局は25日夜、30代の男2人を逮捕しました。事件発生から約1週間での逮捕となり、現場に残されたDNA鑑定が容疑者特定の決め手となったことが明らかになっています。
事件は10月19日午前9時30分頃、開館直後のルーブル美術館で発生しました。工事作業員を装った4人組の窃盗団が、高所作業車を使って館内2階の窓から侵入し、皇帝ナポレオン3世と皇后ウジェニーが所有していたティアラやネックレスなど、フランス王室ゆかりの宝飾品9点を奪って逃走しました。犯行時間はわずか7分程度で、被害総額は8800万ユーロ、日本円にして約155億円に上ることが判明しています。
逮捕された2人はいずれもパリ近郊のセーヌ・サン・ドニ県出身の30代の男で、過去に強盗での逮捕歴があることが確認されています。捜査当局は、犯行現場に残されていた黄色いベストやヘルメットなどの遺留品から採取した150以上のDNAサンプルを鑑定し、容疑者を特定しました。当局は容疑者の動きを監視していましたが、1人がシャルル・ドゴール空港から北アフリカのアルジェリアに向かう飛行機に搭乗しようとしていたところを身柄拘束し、もう1人もパリ郊外で逮捕しました。もう1人の容疑者はマリへの出国を計画していたとみられています。
盗まれた宝飾品9点のうち、ウジェニー皇后の王冠1点が美術館近くで損傷した状態で発見され回収されましたが、残る8点は依然として発見されておらず、捜査当局は残り2人の実行犯の行方とともに宝飾品の捜索を続けています。事件では4人が実行犯とみられており、何者かの指示を受けた組織的犯行の可能性も指摘されています。
警備体制の不備が浮き彫りに
今回の事件を受けて、ルーブル美術館の警備体制に対する批判が高まっています。ロランス・デカール館長は22日、フランス上院の公聴会に出席し、「強盗犯たちの侵入をすぐに検知できませんでした。美術館周辺の警備の弱さは認識していて、原因もわかっています」と警備体制の不備を認めました。
フランスの会計検査院によると、館内全体の6割以上のエリアで監視カメラが1台も設置されておらず、犯行現場となったアポロン・ギャラリーを含むエリアでも約3分の1でカメラが設置されていませんでした。また、犯人が侵入した方向にはカメラが向いていないなど、監視カメラの死角が存在していたことも判明しています。さらに、本来6人で警備にあたるはずの場所が、4人しかいない時間帯もあったことが明らかになっています。
労働組合は「ルーブル美術館では、この10年で警備と監視の人員が190人減らされました。警備のポストを減らすと、いずれその代償を払うことになります」と主張しており、職員らの組合も「警備員が減らされ、関連する設備への資金も十分に拠出されなかった」との声明を出しています。デカール館長は最新の侵入検知システムの導入や館内に警察署を設置することなどを検討するとしています。一方、英メディアは美術館の警備員の1人が犯行前に強盗団とみられる人物らと接触し、セキュリティーに関する機密情報が提供されていた可能性があると報じていますが、パリ検察は「内通に関する捜査は進行中」と述べるにとどめています。









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