高市首相「全く存じ上げない」と関与を全面否定、金融庁は「SANAE TOKEN」の無登録営業を調査へ

金融庁

金融庁が高市早苗首相の名前を冠した暗号資産(仮想通貨)「SANAE TOKEN」(サナエトークン)について、発行に関わった関連業者への調査を検討していることが3月3日までに分かりました。通常、日本国内で暗号資産を発行・販売する際には、資金決済法に基づき金融庁への暗号資産交換業者としての登録が必要となります。しかし、今回のトークン運営に携わったとされる企業については、現時点で業者の登録が確認できておらず、金融庁は無登録での営業が行われていた疑いがあるとして、事実関係の把握を急ぐ方針です。

「SANAE TOKEN」は、実業家の溝口勇児氏が旗振り役を務めるWeb3コミュニティ「NoBorder DAO」によって、今年2月25日に発行されました。同プロジェクトは「Japan is Back」と称し、アプリを通じて収集した国民の声を高市首相に届け、政策立案に活かすことを目的として掲げています。貢献度に応じてトークンを付与する仕組みですが、発行直後には価格が初値から約30倍に急騰し、その後に急落するなど、市場では不自然な値動きや運営側による売買疑惑も浮上していました。

高市首相は3月2日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、「このトークンについては、私は全く存じ上げません」と投稿しました。自身や事務所の関与を全面的に否定した上で、名前やイラストが無断で使用されている現状に注意を呼びかけています。金融庁の調べでは、1月末時点の業者登録一覧に記載がないだけでなく、その後の申請も確認されておらず、日本向け発行に必要な「取り扱い暗号資産」のリストにも当該トークンの名前は存在していませんでした。

ネット上では、「首相の名前を勝手に使うのは悪質すぎる」「投資家保護の観点から厳罰に処すべき」「Web3のイメージが悪くなる」といった批判の声が多く上がっています。また、堀江貴文氏ら著名人が動画内でこのプロジェクトを好意的に紹介していたことも判明しており、宣伝に加担した著名人に対しても厳しい目が向けられています。無登録営業が事実であれば資金決済法違反に抵触する恐れがあり、金融庁は関係者への任意の聞き取りを含め、厳正に対処する構えです。

運営サイドの主張と今後の法的焦点

騒動の渦中にある「NoBorder DAO」の母体を手がける溝口勇児氏は、自身のYouTubeチャンネルなどで、このプロジェクトが「藤井聡教授(京都大学大学院)らが中心となって進めているもの」であると説明していました。公式サイト上では「いかなる政治的意図も持ち合わせていない」「高市氏と提携または承認されているものではない」との注釈を添えてはいるものの、実際には首相の肖像や名前を前面に押し出したプロモーションが行われていました。

今後の焦点は、このトークンが資金決済法上の「暗号資産」に該当するかどうか、そして不特定多数を相手に売買や交換の媒介を行っていたかという点に集約されます。運営側は「投機目的ではない」と主張していますが、実際に取引所で売買され価格が乱高下している実態があるため、法規制を回避するための「脱法的なスキーム」であった可能性も指摘されています。

高市首相が公式に関与を否定したことで、パブリシティ権の侵害や、投資家を誤認させたことによる民事上の責任を問われる可能性も出てきました。金融庁は、投資家への被害拡大を防ぐためにも、運営実態の解明を最優先事項として調査を進めています。政治家の名前を利用した新型の投資トラブルとして、今後の当局の判断が注目されます。

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