塩野義製薬が開発した新型コロナウイルス用飲み薬「ゾコーバ」が、厚生労働省により22日に緊急承認されました。当初は、12月初めから供給される予定でしたが、供給時期が早まったことで11月28日から本格的に開始。
埼玉・三芳町の「ふじみの救急病院」では、すでにゾコーバの処方が開始されています。このゾコーバの特徴は、重症化リスクのない人を対象にしている点です。
薬の内容としては、新型コロナウイルスが増殖する際に「3CLプロテアーゼ」というウイルス由来のタンパク質分解酵素を利用しますが、この分解酵素を阻害することでウイルスの増殖を抑えるというものです。
対象となる患者は12歳以上の小児及び成人であり、1日目は3錠、2日目から5日目は1錠1日1回投与します。ただし、ゾコーバと併用できない薬は現時点で36種類あり、それに加え妊婦や妊娠している可能性がある患者には使用できません。
塩野義製薬はゾコーバについて複数の臨床試験を続けており、そのなかで感染患者の同居家族を対象とした発症予防試験や、12歳未満の小児対象試験も準備しているとのことです。
今後、塩野義製薬は「感染症の脅威からの解放」を特定し、感染症のトータルケアの実現に向けて取り組んでいくとしています。
塩野義製薬の社長「いいものを作らせていただいている」
会見で塩野義製薬の社長はゾコーバの効果について、「100点満点だとは現時点で思っておりませんが、他の薬と比べても、どのぐらいウイルスが下がるのかということと、臨床症状がどういうふうに改善をするのかという総合力では、ずいぶんいいものを作らせていただいたというふうに思っています」とコメントしました。
ゾコーバの大きな魅力は、大勢の人に処方できるという点です。また、国産ということで安定供給に期待できるとされており、ゾコーバの供給開始は、新型コロナウイルスの克服に向けて一歩前進したと言われています。
とはいえ、ゾコーバを飲めば新型コロナウイルスが完全に治るというわけではありません。「ゾコーバがあれば大丈夫」という考えは非常に危険であり、今後も国民1人ひとりが感染予防を意識していく必要があります。
なお、ゾコーバの処方が始まったことで国民は、「承認されてよかった」「全医療機関に行き渡ってほしい」「早く薬局でも買えるようになってほしい」などの反応を示しています。ゾコーバの今後の動向に注目したいところです。