
名古屋鉄道(名鉄)は12月12日、名古屋駅周辺で進めていた大規模な再開発計画について、大幅なスケジュールの見直しを余儀なくされたと明らかにしました。
同社の高崎裕樹社長は名古屋市内で開かれた記者会見で、「当初予定していた来年度中の解体工事に着手できない状況となりました」と説明。「いよいよ建設に進もうという段階で、このような事態に直面するとは全く想定しておらず、無念の思いでいっぱいです」と、時折言葉を詰まらせながら語りました。
名鉄によると、当初の計画では、名鉄百貨店本店などが入る既存ビルの解体工事を2026年度に開始し、2033年度頃の開業を目指していました。今年に入り解体および新築工事を担う施工予定者の選定プロセスを実施。大手ゼネコンで構成される共同企業体(JV)から応募があり、協議を進めていましたが、選定の最終段階にあった11月26日にJVから「入札辞退届」が提出されたといいます。
辞退の理由についてJV側は、建設業界で深刻化する「人手不足」を挙げ、この規模の工事に対応できる施工体制を確保することが困難であると説明したということです。また、昨今の資材価格の高騰などにより、提示された工事費の見積額が当初の想定を大幅に上回る倍増近い水準に達していたことも背景にあるとみられます。
名鉄は、技術的な協力関係にあったゼネコンと長期間にわたり準備を進めてきただけに、着工直前での辞退は極めて異例の状況となりました。
建設費高騰と人手不足が直撃、新たな方向性は2026年度中に
今回の事態を受け、名鉄は解体工事や新築工事の着工時期、および開業時期をすべて「未定」としました。高崎社長は会見で「計画を白紙にするわけではなく、再検証と見直しに着手する」と強調しましたが、リニア中央新幹線の開業を見据えた名古屋の「顔」となる巨大プロジェクトの遅れは、地域経済にも大きな影響を与えそうです。
特に懸念されるのは、建設業界全体を覆う構造的な課題です。大阪・関西万博や各地の半導体工場建設などで建設需要が逼迫するなか、ゼネコン各社は採算性やリスク管理を厳格化しており、大規模案件を選別受注する傾向が強まっています。名鉄の計画も、こうした「建設コストの高騰」と「労働力不足」の影響を受けた形です。
名鉄百貨店本店などの営業は、予定通り2026年2月末に終了しますが、その後の跡地利用のスケジュールは見通せない状況です。名鉄は今後、事業計画の再構築を急ぎ、工事費の精査や計画の修正を行ったうえで、2026年度中には再開発の新たな方向性を示したいとしています。
※高崎社長の「高」は「はしごだか」、「崎」は「たつさき」








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