
日比谷・有楽町・丸の内・銀座エリアが映画一色に染まった10日間。
第38回東京国際映画祭(TIFF)が、10月27日(月)から11月5日(水)にかけて開催され、盛況のうちに幕を閉じた。
今年のTIFFは、クロージング作品にクロエ・ジャオ監督の話題作『ハムネット(原題:Hamnet)』が上映されるなど、例年以上に国際色豊かで質の高いラインナップが注目を集めた。
パンデミック後の完全復活を印象づけた昨年に続き、今年は「映画の未来と多様性」をより強く感じさせる年となった。
満場一致のグランプリ『パレスチナ36』
コンペティション部門の頂点、東京グランプリ/東京都知事賞に輝いたのは、『パレスチナ36(Palestine 36)』だ。
審査委員団が「満場一致」と評した本作は、現代社会が抱える断絶と希望を鋭い視点で描き出し、観客の心を深く揺さぶった。
昨年の第37回では吉田大八監督の『敵』が日本映画として19年ぶりのグランプリを獲得し話題となったが、今年は国際的な社会派ドラマがその座を射止めた形だ。
受賞会見での監督の力強いスピーチは、映画が持つ「国境を越える対話の力」を改めて我々に突きつけた。
驚きと感動の最優秀女優賞、河瀨直美監督が「女優」として受賞
今年最大のサプライズは、最優秀女優賞の結果だろう。
受賞したのは、福地桃子と河瀨直美の二人だ。
世界的な映画監督として知られる河瀨直美だが、今回は俳優としてスクリーンで圧倒的な存在感を放った。
授賞式で河瀨は、かつて自身の作品に主演した故・樹木希林さんの名を挙げ、「この賞を樹木希林さんに捧げる」とコメント。
会場は驚きと共に温かい拍手に包まれた。
福地桃子との共演が生み出した化学反応は、今年の日本映画界における大きなトピックの一つと言える。
観客賞・エシカル賞など、多角的な視点
一般観客の投票で選ばれる「観客賞」には、『スキャンダル・イヴ(Scandal Eve)』が選出された。
エンターテインメント性と社会風刺を兼ね備えた本作は、上映後のQ&Aでも熱心な質問が飛び交い、映画祭ならではの熱気を生み出していた。
また、近年新設され定着してきた「TIFFエシカル・フィルム賞」は『ホワイト・ハウス(White House)』が受賞。
人権や環境、差別といったテーマに対し、映画がいかにアプローチできるかを示す重要な一本として評価された。
クロージング、そして来年へ
最終日のクロージング作品として上映された『ハムネット』は、シェイクスピアの息子を題材にした重厚なドラマでありながら、現在の世界情勢にも通じる普遍的な家族の愛を描き、映画祭のフィナーレを美しく飾った。
野外上映では『ミッション:インポッシブル』シリーズの最新作などが上映され、映画ファン以外も巻き込んだ祝祭空間が創出されていたのが印象的だった。
38回目を迎えた東京国際映画祭。
アジア、そして世界における「東京」の立ち位置を確固たるものにしつつある今、来年の第39回、そして記念すべき第40回に向けてどのような進化を遂げるのか。
映画の街・日比谷の賑わいを背に、期待は高まるばかりだ。
【第38回東京国際映画祭 主な受賞結果まとめ】
- 東京グランプリ/東京都知事賞:『パレスチナ36』
- 最優秀女優賞:福地桃子、河瀨直美
- 観客賞:『スキャンダル・イヴ』
- TIFFエシカル・フィルム賞:『ホワイト・ハウス』
- クロージング作品:『ハムネット』












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