
メキシコで国内最大級の麻薬組織「ハリスコ新世代カルテル(CJNG)」を率いていたネメシオ・オセゲラ容疑者(通称エル・メンチョ)が、治安当局の軍事作戦で死亡して以降、各地で暴力が激化し、社会・経済への影響が広がっている状態です。
メキシコ治安当局は22日、中西部ハリスコ州タパルパ近郊で行った拘束作戦で、エル・メンチョの潜伏先を急襲し、銃撃戦の末に同容疑者が負傷し搬送中に死亡したと明らかにしました。
同容疑者は2000年代にCJNGを創設し、合成麻薬フェンタニルやコカインを米国へ密輸するネットワークを掌握してきた人物で、米国務省は逮捕につながる情報に最大1500万ドル(約23億円)の懸賞金をかけて行方を追っていました。
潜伏先特定の過程では、メキシコの情報部隊が恋人周辺の人間関係を追跡し、米連邦捜査局(FBI)など米側機関からの情報提供も受けていたとされます。
メキシコ政府は、作戦の計画と最終決定は自国の連邦機関が担ったと強調する一方、米国から情報面の支援を受けたことを認めています。
国防当局によると、作戦では特殊部隊やヘリコプターを動員する大規模な布陣が敷かれ、護衛のCJNGメンバー数人が死亡するなど激しい戦闘となりました。
エル・メンチョは長年、顔写真などの情報が限られるなど徹底した隠密行動で捜査当局を翻弄し、一時は国外逃亡説も取り沙汰されてきました。
敵対するシナロア・カルテルのホアキン・グスマン・ロエラ受刑者の逮捕後に勢力を拡大し、「世界で最も残忍な麻薬王の一人」として知られていたことから、その死亡はカルテル勢力図にも大きな変化を及ぼす可能性があります。
一方で、CJNGの軍事力や資金力は依然として強大とみられ、専門家の間では「指導者の排除だけでは暴力の連鎖は止まらない」との見方も出ています。
報復攻撃で27人死亡 観光・金融にも波及
エル・メンチョ死亡後、CJNG側による報復とみられる攻撃がメキシコ各地で多発し、国家警備隊員など治安当局関係者の死者は少なくとも27人に達したと報じられています。
カルテルの構成員らはハリスコ州を中心に車両への放火や高速道路の封鎖、治安部隊施設への襲撃を繰り返し、組織側の死者も含めると数十人規模の犠牲者が出ているとされています。
政府は暴力の沈静化に向けて、同州をはじめ複数地域に数千人規模の増援部隊を派遣し、制圧作戦を続けています。
観光面では、米国人に人気のリゾート地プエルト・バヤルタなどで放火や爆発した車両の映像がSNS上に拡散し、空港周辺道路の封鎖も相次ぎました。
ユナイテッド航空やエア・カナダなどの国際便が運航を見合わせ、多くの外国人観光客が出国できない状態に置かれたと伝えられています。
米国務省はメキシコ各地での暴力激化を受けて、米国人に対し外出を控え安全な場所にとどまるよう勧告し、トランプ米大統領もSNSで「メキシコはカルテルと麻薬への取り組みを一段と強化すべきだ」と圧力を強めています。
国内経済への影響も広がり、BBVAメキシコやサンタンデール、バノルテなどの金融機関が一部地域で支店の営業休止に踏み切ったほか、周辺州の公立学校が治安悪化を理由に臨時休校とする措置も相次いでいます。
メキシコ政府は「暴力的な動きを監視し、治安の回復に取り組んでいる」として平静を呼びかけていますが、6月に北米3カ国で開催予定のサッカー・ワールドカップを控え、国際社会からは治安対策の抜本的な強化を求める声が強まっています。








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