原油価格が急騰 IEA過去最大「4億バレル」放出でも供給不安は解消せず

原油価格が急騰 IEA過去最大「4億バレル」放出でも供給不安は解消せず

3月11日の取引では、WTI先物が前日比約5%高の1バレル87〜88ドル台まで上昇し、備蓄放出による価格抑制効果は限定的でした。国際エネルギー機関(IEA)加盟32カ国が過去最大規模となる石油備蓄4億バレルの協調放出で合意したにもかかわらず、市場の供給不安と地政学リスクの根深さが改めて浮き彫りとなっています。

IEAは11日、加盟32カ国が合計4億バレルの石油備蓄の共同放出に全会一致で合意したと発表しました。今回の放出規模は、ロシアによるウクライナ侵攻後の2022年に実施した約1億8000万バレルの2倍以上です。

G7もオンライン首脳会議で足並みをそろえ、エネルギー需給安定に向けた協調を確認しました。高市首相は16日にも日本単独で約8000万バレルの備蓄放出実施に向けた方針を表明しています。市場では「根本的な危機の代替にはなりにくい」との見方が根強い状況です。

市場が冷静さを保てなかった背景には、ホルムズ海峡の緊張があります。ホルムズ海峡は世界の海上輸送原油の要所で、日量約2000万バレルが通過。トランプ米大統領はイランに対し強い警告を発しており、海峡が事実上の封鎖状態となるリスクが意識されています。

ホルムズ海峡付近の緊張が長期化すれば大量の供給が滞るとの試算もあり、IEAの協調放出は数週間程度の「時間稼ぎ」にとどまるとの見方が国内外の市場関係者からも出ています。

国内でもガソリン価格の上昇を受けた小売価格抑制策や補助金の継続・強化が課題となっており、エネルギー安全保障と家計負担の両立が難しい局面に入っているといえるでしょう。

ホルムズ海峡リスクと市場の「戦争プレミアム」

ホルムズ海峡情勢の悪化は、原油市場に大きな「戦争プレミアム」を上乗せさせる懸念事項です。市場関係者の分析では、足元の原油価格急騰の主因は世界的な需要増よりも、イランへの攻撃や報復の可能性を背景としたリスク回避と指摘されています。

軍事衝突が激化すればタンカー航行の停止や保険料の急上昇、供給ショックが現実味を帯びるとみられています。原油高が長期化すれば、日本を含む各国の物価や金融政策にも影響を及ぼしかねません。

市場の焦点は、ホルムズ海峡の実質的な航行状況、イランと米国を中心とする軍事行動のエスカレーション、そしてIEA協調放出の実施ペースに移っており、エネルギー政策と外交・安全保障が一体で問われる局面が続きます。

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