
韓国で2024年12月に「非常戒厳」を宣言した尹錫悦前大統領に対し、特別検察官が死刑を求刑しました。内乱首謀罪に問われている尹前大統領の論告求刑公判は13日、ソウル中央地裁で開かれ、特別検察官は「憲政史に前例を見つけがたい反国家勢力による重大な憲法秩序破壊事件だ」として死刑を求刑しました。判決は2月19日に言い渡される見通しです。
尹前大統領は2024年12月3日、憲法が規定する「戦時やこれに準ずる国家非常事態」との要件を満たさずに非常戒厳を宣言しました。軍や警察を動員して国会を封鎖し、戒厳の解除決議を妨害しようとしたほか、現在の李在明大統領を含む政界の要人らを拘束しようとしたとされています。特別検察は、2023年10月以前から尹被告と側近が長期間にわたり非常戒厳を計画していたと結論づけました。
特別検察官は死刑求刑の理由として、「野党を一挙に一掃し、憲法を改正して独裁と長期政権を実現しようとする権力欲」が動機だと指摘しました。また、「全斗煥、盧泰愚による過去の内乱事件の断罪があるにもかかわらず、さらに計画的な手法で内乱を企てた」と述べ、「悲劇的な歴史が繰り返されないよう、全斗煥、盧泰愚よりもさらに厳格な断罪が必要」と強調しました。
特別検察官は、戒厳に関与したとして内乱重要任務従事などの罪に問われた金竜顕前国防相には無期懲役を、ノ・サンウォン前情報司令官には懲役30年をそれぞれ求刑しました。趙志浩前警察庁長には懲役20年を求刑しています。
当初、求刑は9日に行われる予定でしたが、金前国防相側の証拠調べが長引き、延期されました。13日の公判でも尹被告側の証拠調べが10時間以上に及びました。結審公判は14日午前2時25分までおよそ17時間に及びました。
尹被告は起訴内容を全面的に否認しており、弁護人は「内乱罪は成立しない」と主張しました。尹被告側は、戒厳宣布は大統領の統治行為であり、当時の野党側の横暴を知らせる警告が目的だったと訴えています。尹前大統領は最終陳述で「国家の非常事態を知らせるためだった」と正当性を改めて主張しました。
内乱首謀罪の法定刑は死刑、無期懲役、無期禁錮に限られます。大統領経験者への死刑求刑は全斗煥元大統領以来、2人目となります。ただし、韓国は1997年を最後に死刑を執行しておらず、国際人権団体からは「事実上の死刑廃止国」と見なされています。
判決と今後の見通し
ソウル中央地裁は2月19日に判決を言い渡すと発表しました。尹前大統領は2025年4月に憲法裁判所により罷免され、すでに一般市民の身分となっています。本判決の行方は、韓国の民主主義と法治主義の根幹に関わる重大な判断として、国内外から注視されています。












-300x169.jpg)