日本銀行、金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除を決定 短期金利を0〜0.1%に誘導

日本銀行は19日に開催された金融政策決定会合において、17年ぶりとなる利上げを行い、マイナス金利政策の解除を決定する見込みです。これに伴い、長短金利操作(YCC)や上場投資信託(ETF)などのリスク資産を買い入れる枠組みの廃止も検討しています。この変更は、大規模緩和政策の事実上の終了を意味しています。

日銀は19日午前に2回目の会合を行い、金融政策の具体的な議論を進めました。日銀が設けた2%の物価目標を持続的かつ安定的に達成する見通しが立つ場合、緩和策の修正が行われる方針です。

2024年の春季労使交渉における賃上げ率が33年ぶりに5%を超える5.28%に達したことから、賃金と物価の好循環が実現し、マイナス金利を解除できる環境が整ったとの見方が日銀内で広がっています。

2016年2月に導入されたマイナス金利政策では、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部にマイナス0.1%が適用されていました。今後、短期金利を0〜0.1%に誘導する案が有力視されており、大規模緩和の柱であったYCCも撤廃される予定です。

これらの動きは、金融市場の混乱を避けつつ、緩和的な金融環境を維持する日銀の方針を反映しています。

YCC撤廃に伴い、市場実勢に反して金利抑制する枠組みを廃止

日銀はYCCの撤廃に伴い、市場の金利急騰を防ぐために引き続き一定規模の国債を買い入れる計画ですが、市場実勢に反して金利を人為的に抑制する枠組みは廃止する方向です。長期金利については、現在設定されている1%の上限を撤廃し、市場の実情に合わせた変動を認める新しい方針を採用する予定です。

また、2010年から開始されたETFや不動産投資信託(REIT)の買い入れについても終了する方針を固めています。これは、金融政策として中央銀行がリスク資産を直接買い入れるのは異例の措置であり、償還されない限り市場に残り続けるリスクを抱えることになるためです。

日銀が保有するETFの簿価は2023年9月末時点で約37兆円に上り、株価の上昇に伴い含み益は30兆円規模に達しています。日銀内では、消費者物価指数の前年同月比上昇率が2%を超え続けるなど、物価目標の実現が見込める状況になってきたとの認識が広がっています。

この変化は、物価の押し上げ要因が一過性の原材料高から人件費を反映したサービスに移行していることを示しており、日銀はこれを受けて緩和政策の修正を進める見込みです。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 「薬物乱用防止教室」の講義で講師をする元千葉県警・警部補、一般社団法人日本刑事技術協会の上級コンサルタントの森雅人氏
    元千葉県警・警部補であり、現在は一般社団法人日本刑事技術協会の上級コンサルタントとして活躍する森雅人…
  2. WILLER EXPRESS株式会社(ウィラーエクスプレス)の社名看板
    WILLER EXPRESS株式会社(ウィラーエクスプレス)は、お客様に安心・安全な移動サービスを提…
  3. 「「金融教育」生きるために子どもにこそ必要な教育」ライター:秋谷進(東京西徳洲会病院小児医療センター)
    諸外国と比較して日本の金融教育は、大きく遅れていると言わざるを得ない状況にあります。今回は、日本の資…

おすすめ記事

  1. WILLER EXPRESS株式会社(ウィラーエクスプレス)の社名看板

    2024-4-19

    WILLER EXPRESSの「新木場BASE」から見える安全に対する徹底した取り組み

    WILLER EXPRESS株式会社(ウィラーエクスプレス)は、お客様に安心・安全な移動サービスを提…
  2. 第3回昭島矯正展の入り口のアーチ

    2023-10-25

    刑務所ってどんな場所?「昭島矯正展」が伝える受刑者更生の日々

    2023年9月24日(日)、およそ3年ぶりに昭島矯正展が開催されました。当日の様子をイベントレポート…
  3. 「発達障害の子どもたち 私立の小・中学校は適応できるのか?」ライター:秋谷進(東京西徳洲会病院小児医療センター)

    2024-3-24

    発達障害の子どもたち 私立の小・中学校は適応できるのか?

    発達障害は脳機能の発達の遅れと考えられ、マイペース、独特、天然などは脳の個性と考えられています。子ど…

【募集中】コンテスト

第5回ライティングコンテスト(東京報道新聞)

【結果】コンテスト

東京報道新聞第4回ライティングコンテスト (結果発表)

インタビュー

  1. ゴミ収集車の死亡事故による呼び捨てでの実名報道で訴訟を起こした品野隆史氏
    現在メディアでは、事件に関して疑いのある人の実名報道では「容疑者」を呼称でつけていますが、1989年…
  2. 青森県で協力雇用主として出所者の社会復帰を目指して雇用する企業「有限会社松竹梅造園」代表の渡辺精一様
    協力雇用主とは、犯罪や非行をした者の自立や社会復帰に向けて事情を理解したうえで就職先として受け入れる…
  3. 青森刑務所で受刑者に講話を行った受刑者等専用の求人誌「Chance!!」編集長・三宅晶子氏
    三宅晶子氏(株式会社ヒューマン・コメディの代表取締役)は、日本初の受刑者等専用求人誌「Chance!…
ページ上部へ戻る