
2024年度における日本の上場企業の給与水準が大幅な上昇を記録しました。帝国データバンクの最新調査によると、有価証券報告書に基づく上場企業約3,800社の平均年間給与は671万1,000円となり、調査開始以来20年間で最高額を達成しています。
この数字は前年度の651万4,000円から19万7,000円の増加となり、伸び率3.0%という堅調な成長を示しています。
注目すべきは、この上昇傾向が一時的なものではなく、継続的な動きであることです。2021年度以降、4年連続で前年度実績を上回る結果となっており、日本企業の給与水準が構造的な転換点を迎えていることを示唆しています。
企業別の動向を見ると、全上場企業の75.0%が前年度から給与を引き上げています。この割合は、過去5年間で最も高い水準となりました。
特に増加率が5%以上となった企業は全体の約30%を占め、大幅な給与改善を実施した企業が相当数存在することが分かります。
業界別では、海運業が1,052万3,000円で唯一1,000万円の大台を突破。一方で、最も高い伸び率を示したのは陸運業の13.7%増で、平均645万円となり、同業界として初めて600万円台に到達しています。
給与水準の上昇が加速している理由|人材獲得競争と物価上昇
この顕著な給与上昇の背景には、複数の構造的要因が複合的に作用しています。最も大きな要因として挙げられるのは、全業界にわたって深刻化している人手不足への企業の対応策です。
少子高齢化による労働力人口の減少と、経済活動の正常化に伴う人材需要の急回復により、優秀な人材の獲得競争が激化しています。企業は従来の給与体系を見直し、特に新卒採用における初任給の大幅引き上げや、既存従業員の処遇改善を積極的に実施している状況です。
加えて、2022年以降継続している物価上昇も重要な押し上げ要因となっています。生活必需品やエネルギーコストの上昇により、実質賃金の低下を防ぐための名目賃金引き上げが不可欠となっており、多くの企業が従業員の生活水準維持を目的とした賃上げを実施しているのです。
上場市場別では東証プライム市場が平均763万3,000円で最高となり、全ての市場において平均500万円を上回る結果となったことも、この傾向を裏付けています。
しかし、米国の新政権による関税政策の強化によって、輸出関連企業を中心とした業績悪化の懸念が高まっているのも事実です。これまで好調な企業業績に支えられてきた賃上げムードに悪影響を与える可能性があります。

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