ゼレンスキー大統領が中東3カ国を歴訪、イラン製ドローン迎撃の防衛協力で合意
- 2026/3/30
- ニュース, 社会・政治
- アラブ首長国連邦(UAE), ウォロディミル・ゼレンスキー, ウクライナ, カタール, サウジアラビア, ドローン
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ウクライナのゼレンスキー大統領は、3月26日から28日にかけてサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールの中東3カ国を電撃訪問しました。各国の首脳と相次いで会談したゼレンスキー氏は、イラン製無人機(ドローン)による攻撃にさらされている湾岸諸国に対し、ウクライナが実戦で培った迎撃技術や知見を提供することで合意しました。ロシアによる侵攻が長期化するなか、ウクライナは独自のドローン防衛網を構築しており、共通の脅威であるイラン製兵器への対策を軸に、中東諸国との防衛協力を新たな段階へと引き上げる狙いがあります。
ゼレンスキー氏は28日、UAEのムハンマド大統領と会談し、ロシアのドローンやミサイルを高い確率で阻止する防空システムの開発成果を共有することを表明しました。これに先立ち訪問したサウジアラビアでは、同国の実力者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談し、軍事技術や投資に関する包括的な防衛協力協定に署名しました。
湾岸アラブ諸国は、イランが支援する武装勢力などから攻撃型ドローン「シャヘド」による波状攻撃を受け、エネルギー施設や軍事拠点に被害が出ている現状があります。ウクライナはロシアとの戦いを通じて、この「シャヘド」を効果的に撃墜するための迎撃ドローンを大量生産しており、すでに専門家約230人をサウジやUAEを含む5カ国に派遣して技術指導を行っています。
一方、ウクライナ側はこの技術提供の見返りとして、深刻な不足に陥っている地対空誘導弾「パトリオット」(PAC3)の供与を強く求めました。現在、ロシアによる大規模なミサイル攻撃が激化しており、ウクライナ国内の防空能力は限界に近い状態にあります。
しかし、米国などの主要な供与国は中東情勢の緊迫化を受け、パトリオットの配備先を優先順位に基づいて調整しており、ウクライナへの追加供給が滞る懸念が広がっています。ゼレンスキー氏は、中東諸国が保有する余剰分の融通や、将来的な共同調達の枠組みを模索することで、この難局を打開したい考えです。
深刻なエネルギー不足解消へ、ディーゼル燃料の供給拡大を要請
防衛協力と並んで今回の中東歴訪の大きな柱となったのが、ウクライナ国内で危機的状況にあるエネルギー問題の解決です。ゼレンスキー氏は各首脳との会談において、ディーゼル燃料の輸出拡大を正式に要請しました。ウクライナではロシアによるエネルギーインフラへの集中的な攻撃により、発電施設や精油所が甚大な被害を受けています。これにより、物流や軍事車両の稼働に不可欠なディーゼル燃料が枯渇するとの観測が広がり、国内での価格が急騰するなど市民生活や軍事作戦に支障が出始めています。
カタールのタミム首長との会談でも、軍事協力の拡大に加え、液化天然ガス(LNG)を含むエネルギー供給の安定化について協議が行われました。ゼレンスキー氏はSNSを通じて、今回の中東訪問により「わが国のエネルギー問題を解決できる足がかりを得られた」と強調し、資源大国である中東諸国との連携強化に自信をのぞかせました。
ロシアがイランとの軍事的な結びつきを強め、米国の関心が中東に分散している隙を突いて攻勢を強めるなか、ウクライナは中東諸国を「防衛パートナー」として取り込むことで、物資と技術の両面から抗戦態勢の立て直しを急いでいます。








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