
近畿大学水産研究所が、高級魚として知られるノドグロ(標準和名アカムツ)の完全養殖に世界で初めて成功したと発表しました。 ノドグロは「白身のトロ」と称されるほど脂が乗った味わいで人気が高い一方、漁獲量が少なく価格高騰が続く“幻の魚”とも言われてきました。
近畿大学は2015年から富山県射水市の実験場で飼育研究に着手し、2016年に人工ふ化に成功、2022年には稚魚を安定的に育てられる技術を確立していました。 その上で、人工ふ化した個体を親魚に育て、その親が産んだ卵から再び稚魚を得る完全養殖サイクルを実現したことで、天然資源に依存しない持続的な生産への道筋をつけた形です。
今回の成果は、新潟県上越沖で2022年に採取した卵を人工ふ化させて育てた3歳魚を親魚として活用し、ホルモン投与で産卵を促したうえで人工授精を行ったことで得られました。 2025年10月6日に人工ふ化に成功して以降、10日までに計4例の人工ふ化が確認され、そのうち2例で稚魚の飼育が継続されています。
これらの稚魚は生まれてからの飼育日数が122日に達しており、今後3年程度で成魚となり、次世代の完全養殖ノドグロを生み出す親魚に成長すると見込まれています。 近畿大学が完全養殖を達成した魚種はクロマグロなどに続き30種目となり、日本の養殖技術の蓄積を象徴する事例とも位置付けられています。
高級魚の“近大ノドグロ”が目指す市場展開と残る課題
今後の展開として、近畿大学は約3年後をめどに飲食店向けの提供を始め、5年後には養殖業者への稚魚販売を通じた本格的な商業化を目指す方針です。 東京・銀座や大阪などのレストランで「近大マグロ」に続くブランド魚「近大ノドグロ」として提供し、将来的には2030年ごろまでに養殖業者への種苗供給を軌道に乗せたい考えです。 ノドグロは豊洲市場などでマダイの10倍、マグロの5倍もの高値が付くこともある最高級魚とされており、養殖技術の確立は価格の安定化や消費拡大にもつながる可能性があります。
一方で、課題も残されています。ノドグロは水深100〜200メートル前後の深海に生息し、光や振動の変化に非常に敏感で、大型車の通行や雷光をきっかけに暴れ出して大量死に至ることもある“神経質な魚”とされています。 水温や水圧、生息環境を陸上の水槽で再現することが難しく、飼育施設の設計から給餌方法、病気対策に至るまで養殖技術全般の安定化が今後のテーマです。
さらに、人工ふ化した個体の9割以上が雄になる傾向や、ブリなどの既存養殖魚に比べて成長が遅いことも指摘されており、早く成長し養殖に適した系統づくりや性比の改善など、品種改良の研究も進める必要があります。 近畿大学は、天然魚に依存しない完全養殖技術を基盤に、資源保全と安定供給の両立、そして家庭の食卓にノドグロが並ぶ未来を7〜8年後に実現したいとしています。







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