外国為替市場で3日午後11時すぎ、円相場が一時1ドル=150円台となりました。その後は円を買い戻す動きも見られ、乱高下しています。これはおよそ1年ぶりの水準です。
背景には、米国の金融引き締めが長期化する見通しがあり、円安が一段と進んだとされます。米国の長期金利は4.8%を上回り、約16年2ヶ月ぶりの水準にまで達しました。
この金利の上昇は日米の金利差が広がることを意識させ、市場で円の売りと利回りの高いドルの買いが加速しました。その後、円相場は一時1ドル=147円台前半まで値上がりするなど、大きな変動が見られています。
3日の東京市場について鈴木財務相は「引き続き、高い緊張感を持って万全の対応をしていく段階」と発言。さらに、1ドル=150円の水準が為替介入の節目になるのか、という疑問に対して「水準そのものは判断基準にならない。あくまでボラティリティの問題」と説明しています。
しかし、鈴木財務相の説明は「米国政府に配慮したポーズである」という意見もあがっています。また、市場関係者は「節目の1ドル=150円となったあとは、日本政府・日銀による円安に歯止めをかけるための市場介入への警戒感が強まり乱高下につながった」とした上で、続けて「アメリカの長期金利の上昇は続いており円安が今後どこまで進むのか、見通せない状況となっている」と述べています。
神田財務官「経済活動に悪影響」「望ましくない」
財務省の神田財務官は4日朝、記者団の取材に応じました。日本政府による市場介入があったかどうかを聞かれると、「市場介入の有無についてはコメントを控えます」と伝えました。
また、「過度な変動が企業や家計の経済活動に悪影響を与えることには変わりはなく、望ましくない」と分析した上で、「『過度な変動』は、さまざまな要素を総合的に判断している。一方向に、一方的な動きが積み重なり、一定期間に非常に大きな動きがあった場合は、それも過度な変動にあたる」と指摘しました。
市場では日銀による為替介入への警戒感が一段と高まっており、今後の動向が注目されています。ネット上では、「日銀は介入しないんですね」「政府日銀が何もしないって言ってるんだから円は安くなる一方だ」「この機会に自給率を上げたらどうだろうか」などの意見が寄せられています。