
海運大手の商船三井は3日、イランによる事実上の封鎖が続くホルムズ海峡を、同社が関与する液化天然ガス(LNG)運搬船が通過したと明らかにしました。 通過したのはパナマ船籍の「SOHAR(ソハール)LNG」で、商船三井とオマーンの企業が共同で保有する船舶です。
2月末に米国とイスラエルによるイラン攻撃が始まって以降、ホルムズ海峡以西のペルシャ湾内に取り残されていた日本関係船舶が同海峡を抜けたのは初めてとみられます。 商船三井は、船舶と乗組員はいずれも「危険な水域から離れ、安全を確認した」と説明していますが、通過の具体的経緯や条件、乗組員の国籍などの詳細は「安全上の理由」を挙げて公表していません。
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ世界有数の戦略海上交通路で、中東産原油やLNGを積んだタンカーが行き交う要衝です。 2025年時点で、日本の原油輸入量の約94%は中東に依存し、その大半がホルムズ海峡経由とされています。 こうした中、2月28日に米国とイスラエルがイランへの軍事攻撃に踏み切ったことを受け、イラン側はホルムズ海峡の「封鎖」を宣言し、船舶の航行禁止を通達しました。 日本の海運各社は同海峡の通峡を停止し、多くの日本関連船舶がペルシャ湾内で待機を余儀なくされていました。
商船三井によれば、今回の通過以前には、日本関係の船舶が湾内から海峡を抜けた例は確認されておらず、今回の「SOHAR LNG」の動きは、事実上封鎖された海域から日本関係船が脱出した象徴的な事例となります。
エネルギー安全保障に残る不透明感
ホルムズ海峡の情勢悪化は、日本のエネルギー安全保障にとって引き続き大きなリスク要因です。日本向け原油の約9割以上を中東に依存する構造は変わっておらず、海上輸送のボトルネックであるホルムズ海峡の機能低下は、原油やLNG価格の急騰を通じて日本経済や家計に波及しうると指摘されています。
実際、封鎖宣言以降、世界の原油価格は大きく上昇し、日本国内でも物価への影響を懸念する声が強まっています。 一方で、政府や石油元売り各社は、当面は国内在庫や国家備蓄の活用により、直ちに燃料供給に支障は出ないとの見方を示しています。
ただ、イラン政府はホルムズ海峡を「戦略的な海上交通路として最大限活用する」と強調しつつ、対立国への対抗措置として封鎖を継続する可能性も示しており、緊張緩和の見通しは依然不透明です。 日本関係船舶45隻がペルシャ湾内にとどまっているとされる中で、今回の「SOHAR LNG」に続き、他の船舶が安全に通峡できるかどうかは、国際社会の外交努力やイランとの交渉の行方に左右されます。
日本政府は、欧州諸国などと連携しつつ、航行の自由確保とエネルギー供給網の安定化に向けた国際的な枠組みづくりを模索することが求められています。 今回の通過は一つの前進である一方、エネルギー輸入の中東依存をどう低減していくかという長期的な課題を改めて浮き彫りにしたと言えます。












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