AIでクマ検知、ドローン追走 NTT系が自治体向け対策システム

AIでクマ検知、ドローン追走 NTT系が自治体向け対策システム

NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)は、人工知能(AI)とドローン、住民向けアプリを組み合わせた自治体向けのクマ対策システムの提供を始めました。

全国でクマの市街地出没や人身被害が相次ぐ中、自治体の現場負担を減らしつつ、早期発見と迅速な避難誘導を一体的に支援するのがねらいです。

システムの中核となるのは、出没が疑われる地域に設置した監視カメラ映像をAIが解析し、自動でクマを検知する機能です。

備え付けカメラに映ったクマをAIが確認すると、担当職員に通知が届き、自律飛行するドローンが現場に向かう仕組みになっています。

ドローンには熱を感知する赤外線カメラやスピーカーが搭載されており、クマを追尾しながら音を鳴らして追い払うほか、移動経路をGPSで記録することも可能です。

NTTドコモビジネスはこれまで、北陸地域などでパートナー企業が開発した「熊検知AI」を活用した実証を重ねてきました。

2025年には福島県昭和村と連携し、セルラードローン「Skydio X10」を使ったクマの捜索・追い払いの取り組みも開始しており、その運用経験が今回のパッケージ化につながりました。

新たなサービスは、AIによる出没検知から、ドローンを用いた現地確認・追い払い、住民への一斉通知までを「熊対策ソリューション」として体系化したのが特徴です。

住民向けには、自治体の公式アプリなどを通じて、クマの目撃情報や注意喚起が自動で配信されます。

警察や消防など関係機関への通報も自動化されており、職員が電話連絡やメール送信に追われる負担を軽減できます。

NTTドコモビジネスは、2026年4月からの本格提供を予定し、100以上の自治体での導入を目標に掲げています。

背景には、目撃件数や人身被害の増加で、地方自治体の対応リソースが限界に近づいている現状があります。

山間部だけでなく住宅地周辺への出没も増える中、職員が現場に駆けつけて目視で確認する従来の体制だけでは、迅速な対応が難しくなっていました。

NTTドコモビジネスは、AIとドローンを活用したデジタル化によって、人手不足を補いながら地域の安全確保に貢献したい考えです。

同社は、導入自治体で得られたクマの出没状況や行動パターンなどのデータを蓄積・分析し、対策の高度化にもつなげる方針です。

今後は、他の野生鳥獣対策や防災分野への応用も視野に入れており、災害時の被害状況確認などでの活用も想定しています。

現場から期待と課題 クマとの共存へ模索続く

NTTドコモビジネスの「熊対策ソリューション」には、現場の自治体から期待の声が広がっています。

クマ出没時の一連の対応を自動化することで、限られた職員数でも迅速な初動が可能になり、夜間や早朝でも安全を確保しやすくなると見込まれています。

福島県昭和村では、LTE通信に対応したドローンにサーマルカメラを搭載し、山林の中に逃げ込んだクマの位置を把握する取り組みが進んでおり、ハンターによる駆除や住民の避難判断を支援しています。

一方で、新システムの導入にはコスト負担や、機器運用に必要な人材育成といった課題も残ります。

クマの行動や生息環境は地域によって大きく異なるため、AIによる検知精度を高めるには、各地でのデータ蓄積と継続的なチューニングが欠かせません。

ドローンの飛行についても、住宅地上空での運用ルールやプライバシーへの配慮など、地域住民との丁寧な合意形成が求められます。

専門家の間では、技術による「駆除の効率化」だけでなく、人とクマの生活圏を整理する「ゾーニング」や餌場管理など、総合的な被害防止策と組み合わせる必要性が指摘されています。

AIとドローンを活用した新システムは、その基盤となる出没情報の収集と、危険な場面での人の代替として期待されており、地域の実情に応じた運用設計が今後の焦点となりそうです。

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