インド宇宙研究機関(ISRO)は23日、無人月探査機の「チャンドラヤーン3号」が月の南極付近での軟着陸に成功したと発表しました。月の南極地点への着陸は、全世界で初の試みとなります。
月面への着陸を果たした国として、米国、旧ソ連、中国に次ぐ4ヶ国目となりました。ISROによると、「チャンドラヤーン3号」は正常に機能しているということで、25日には着陸機のハッチが開き、「ローバー」が降り立ちました。その後、ローバーが少しずつ月面を走行する様子を映した映像が公開されました。
月の南極部には水が氷の状態で存在する可能性があり、それが飲料や酸素、さらには水素の原料として活用できることが期待されています。今後の月面探査について、国際的な関心が集まっています。
インドは今回の着陸成功を受け、宇宙開発で優位に立ちたいという考えを示しているとのことです。来年の総選挙を前にしたインドのモディ首相にとって、この1件は非常に大きな実績と言えるでしょう。有人月探査の競争が激化する中、中国を筆頭とした他国への対抗策としての狙いもあります。
「チャンドラヤーン3号」は7月14日に地球を離れ、宇宙へと向かいました。インドは2008年に「チャンドラヤーン1号」を月面に衝突させ、水分の存在を確認。2019年における「チャンドラヤーン2号」の軟着陸は失敗に終わっています。
インド宇宙研究機関のミッション:水の氷を追求すること
インドが新たに打ち出した宇宙ミッションの主なテーマは、月に存在する可能性のある水の氷を追求することです。科学者らの間では、月に水の氷が見つかれば、将来的に人類の月での生活を大きく支えてくれる要素になると予測されています。
さらに、火星や遠方に向かう際の宇宙船の推進剤としての活用も視野に入れられています。月面には日光が当たらず永久に影となる領域が多く、水の氷が蓄積している可能性があると指摘されています。
「チャンドラヤーン3号」には、月面の物理的特性や月面近くの大気、地殻の活動を調査する5つの科学装置が組み込まれています。探査車にはインドの国旗も搭載されており、車輪部分には「ISROのロゴ」が刻まれています。探査車が月面を移動する際、その跡が残るよう設計されているとのことです。
月に関する探査活動は、インドだけの取り組みではありません。近年、多くの国が月探査を計画しており、月には多くの未解明な点が存在すると科学者たちは強調しています。今後のISROの活動に注目が集まります。