米連邦準備制度理事会(FRB)は12日、政策金利を5.25~5.5%に据え置くことを決定しました。これで7会合連続の据え置きとなります。年内の利下げ回数についても、従来の「3回」から「1回のみ」に下方修正しました。
物価上昇(インフレ)の長期化が想定を上回ったことで、FRBの早期利下げシナリオに狂いが生じています。パウエルFRB議長は記者会見で、「インフレ率が持続的に2%へ向かっているとの確信を強めるには、さらに良いデータを見る必要がある」と述べ、利下げには慎重な姿勢を示しました。
FRBの最新の経済見通しでは、年末の政策金利は5.1%であり、現在の水準から0.25%の利下げを行うとすれば、年内は1回のみとなる計算です。3月時点では年末の政策金利を4.6%で、年内3回の利下げを見込んでいましたが、ペースは大幅に鈍化しそうです。
市場では最速で9月との見方が優勢ですが、年内の利下げは不可能との悲観論も出ています。FRBの慎重姿勢が、世界経済に与える影響が注目されます。
ネット上では、「選挙前に一回だろうな」「先に経済が壊れそう」「あくまで見通しだからわからない」などの意見が寄せられています。
2023年に高金利の打ち止めを発表 利下げ開始の見通し立たず
FRBは2023年12月、22年ぶりの高金利に終止符を打ち、2024年中に3回の利下げを示唆しました。しかし、半年が経過した現在も、利下げ開始の見通しは立っていません。
その背景にあるのが、長引くインフレです。12日発表の5月の米消費者物価指数(CPI)は、前年同月比3.3%上昇しています。2ヶ月連続で前月を下回っていますが、FRBの目標である2%にはまだ及んでいません。
当初、多くのアナリストは金利引き上げの影響で2024年に米経済が減速すると予測していました。ところが実際は、個人消費が好調で、1~3月期まで7四半期連続のプラス成長を記録するなど、経済は非常に好調です。
インフレ率は2022年6月のピーク時(9.1%)から低下しているものの、目標の2%台まであと一歩というところで足踏み状態が続いています。FRBの利下げが遅れれば、ドル高金利が長期化することになります。
欧州中央銀行やカナダ銀行などは、既にインフレ率の低下を受けて利下げに転じており、外国為替市場では「ドル独歩高」の展開が予想されています。