TDR運営のオリエンタルランドがクルーズ事業に参入 舞浜依存の脱却を図る
テーマパーク運営のオリエンタルランド(OLC)が、新たな事業の柱としてクルーズ事業に参入します。同社は東京ディズニーリゾート(TDR)の運営で知られていますが、舞浜への依存度の高さが課題となっていました。
OLCの吉田謙次社長兼最高執行責任者(COO)は9日の記者会見で、「中長期の成長にはTDRに加えて新たな柱をつくる必要がある。1998年に米ウォルト・ディズニーがクルーズを始めて以降、ずっと考えていた」と語りました。クルーズ船の就航は2028年度を予定しています。
現在、OLCの業績は好調で、2025年3月期の連結純利益は2期連続で過去最高を更新する見通しです。しかし、同期の連結売上高予想6,847億円のうち、舞浜のテーマパーク事業とホテル事業が98%を占めており、一極集中のリスクが懸念されていました。
過去にも福岡市への進出検討や大阪市の商業施設での劇場運営計画などを模索しましたが、いずれも実現には至りませんでした。クルーズ事業への参入は、OLCにとって舞浜依存からの脱却と、新たな収益源の確保を目指す大きな一歩となります。
ネット上では、「これは人気がでそう」「クルーズとディズニーは別に楽しんだ方が良い様な気がする」「逆行する最たる事業だと思うのだが」など、賛否の意見が寄せられています。
クルーズ事業、米ディズニーの「ディズニークルーズ」を参考
かつては富裕層や高齢者のイメージが強かったクルーズ業界ですが、近年は家族客や若者にも人気が広がっています。OLCが参考にするのは、米ディズニーの「ディズニークルーズ」です。テーマパークの要素を取り入れたウォータースライダーや本格的なミュージカル劇場、ショーを楽しめるレストランなどが特徴です。
OLCの吉田謙次社長は「パークとは異なるクルーズの非日常体験ができる」と、新事業の魅力を語ります。訪日客も含め、年間乗客約40万人、売上高目標約1,000億円を見込んでいるとのことです。価格帯は2〜4泊で10万〜30万円を想定しています。
ただし、クルーズ船の新造費用など新事業への投資額は約3,300億円と、6月に開業した東京ディズニーシーの新エリアに匹敵する大型投資です。吉田謙次社長は「どこかのタイミングで資金調達も可能性はある」と述べ、財務面への影響を認めました。
さらに、1,500人必要な乗員の確保も大きな課題です。桜美林大学の山口有次教授は「消費者にとってはディズニーの世界観に浸れる新しい選択肢になり、OLCにとってはテーマパークとクルーズで需要の分散と相乗効果が期待できる」と、新事業の可能性を評価しています。