欧州宇宙機関の新大型ロケット「アリアン6」の初打ち上げ成功 2段式使い捨てロケット

欧州宇宙機関(ESA)が、待望の新大型ロケット「アリアン6」の初打ち上げに成功しました。フランス領ギアナの宇宙センターから9日夕方に打ち上げられたアリアン6は、9基の小型衛星と実験装置を地球低軌道まで運ぶことが主要ミッションでした。

しかし、飛行の2段階目で補助エンジンが停止し、軌道を下げるための噴射ができないというトラブルが発生。初打ち上げには成功したものの、完璧とはいえない幕開けとなりました。

それでもESAのアッシュバッハー長官は、「歴史的な瞬間に興奮すると同時に安心した。ようやく欧州が宇宙ビジネスに帰ってきた」と喜びを語っています。トラブルの原因については、今後のデータ解析などで突き止めるとのことです。

アリアン6は、高さ56メートル、重量540トンの2段式使い捨てロケットです。2014年に約7,000億円を投じる開発計画が決まりましたが、開発の遅れなどから初打ち上げは数度延期されていました。

1世代前の「アリアン5」は2023年7月までに計117回打ち上げられましたが、その後は米スペースXに頼らざるを得ない状況に。アリアン6への期待は大きく、今後の活躍が注目されます。

スペースXのロケット打ち上げ回数、2023年に96回を記録

イーロン・マスク氏率いるスペースXの躍進が止まりません。欧州各国は人工衛星の打ち上げなどで、同社の大型ロケット「ファルコン9」への依存を強めているのです。

宇宙産業コンサルタントである米ブライス・テック社によると、スペースXのロケット打ち上げ回数は2023年に96回を記録したとのことで、2022年の61回から1.6倍に増加しています。一方、欧州のアリアンスペースは3回に留まっています。

スペースXは2024年1〜3月だけで31回もの打ち上げを行っており、中国航天科技集団(9回)やロシアのロスコスモス(5回)を圧倒的に上回りました。欧州各国がウクライナ侵略を受けてロスコスモスの「ソユーズ」ロケットを使用できなくなったことで、スペースXへの発注が増えたのも一因と見られています。

欧州は新型ロケットのアリアン6で巻き返しを図ります。2026年までに年間9~12回のペースで計25回の打ち上げを予定しており、米Amazonなども顧客として期待されています。日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)も7月1日に、「H3」ロケットの3号機打ち上げに成功しました。

欧州と日本は独自のロケット開発を加速させていますが、スペースXの回収・再使用型ロケットに対抗するには、打ち上げ回数増加に伴うコスト増をいかに抑えられるかが鍵となります。両者の今後の挑戦に注目が集まります。

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