受刑者は何を食べている?宮城刑務所の管理栄養士に聞く給食の様子

受刑者の食事に関するインタビューで給食の様子について話す宮城刑務所の管理栄養士さん

「刑務所で過ごしている受刑者の食生活ってどうなっているんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?

「ムショ飯」や「クサい飯」といった言葉があるため、刑務所の食事に対して良くないイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、実際に刑務所で提供される食事は、管理栄養士によって毎食しっかりと栄養バランスを考慮して作られています。

「刑務所の食事メニューはどんなもの?」
「受刑者は毎日どのように食事を摂っているのか?」
「健康状態は食事に反映されているのか?」

そんな疑問に答えるべく、宮城刑務所で働く現役の管理栄養士に、受刑者の食事環境について詳しくお話を伺いました。

<目次>

受刑者への給食について

宮城刑務所で受刑者が食べている給食(ムショ飯)のからあげ、豚肉と白菜の春雨、野菜スープ
からあげ、豚肉と白菜の春雨、野菜スープ

受刑者への給食は、一般的な食事と同じく1日3食です。工場で作業を行う受刑者は、昼食を工場横の食堂でとり、朝食と夕食は各自の居室で食べます。一方、居室で作業を行う受刑者は、昼食も居室でとることになります。

刑務所では、ご飯のおかわりはできません。食べ残しに関しては特に制限はありませんが、他の受刑者に食べ物を分け与えることは禁止されています。また、食堂で席についた後は無断で離席することができないなど、刑務所特有の厳格なルールがあります。

受刑者への献立の決め方

受刑者の献立は、管理栄養士が1ヶ月ごとに原案を作成します。その原案をもとに、月に1回、所長を含む幹部との会議で献立が最終的に決定されます。近年は食材費の高騰により、費用がかかるメニューは避け、予算内で工夫を凝らした献立が組み立てられています。

宮城刑務所には、長期刑の受刑者が多く収容されています。彼らが塀の中でも社会の味を感じられるよう、チンジャオロースの素など、一般家庭で使われる調味料や食品を積極的に取り入れています。

刑務所の食事は質素なイメージがあるかもしれませんが、実際には季節を感じる工夫もされています。夏には冷たい麺類やアイス、年末にはケーキや年越しそばが提供されます。さらに、宮城は芋煮が有名な地域のため、宮城刑務所でも芋煮汁が出されることがあります。国民の祝日には「祝日菜」としてお菓子が提供されるなど、日々の食事にさまざまな趣向が凝らされていることがわかりました。

食事に対する受刑者の反応

刑務所では、年に1回、受刑者に対して「給食アンケート」を実施し、その結果を献立作りの参考にしています。アンケートからは、受刑者に人気のあるメニューも把握することができ、宮城刑務所では、特に酢豚が好評です。

しかし、酢豚はとろみのある餡に豚肉の竜田揚げが入っており、この竜田揚げを全員に均等に提供するのが難しいという課題があります。不平等な配分は受刑者の不満につながるため、酢豚は人気があるものの、頻繁には提供しづらいメニューでもあります。

炊事は受刑者の担当

献立は管理栄養士を中心とした職員が考案しますが、実際に調理を担当するのは受刑者です。なかには、健康上の理由で他の受刑者と同じメニューを食べられない人もいます。これらの受刑者のメニューは、献立作成時に医師が介入し、特別な配慮がされています。医療的な理由に基づいた特別メニューは高度な専門知識が必要なため、調理経験が豊富な受刑者が担当します。

また、アレルギーや宗教上の理由で特定の食材を避けなければならない場合もあり、その際は専門の受刑者が別途調理を担当しています。

医療的措置が必要な受刑者の食事

医療的措置が必要で、施設内の病棟で過ごす受刑者は、食事も病棟で摂ります。手術直後の絶食から全粥へと徐々に食事を再開するなど、受刑者の健康状態に応じて医師が献立を指示します。特に宮城刑務所は、医療的措置を重点的に行う「医療重点施設」として、重篤な健康状態の受刑者が多いのが特徴です。

自力で食事を摂ることが困難な受刑者も多く、その場合は食事をミキサーにかけ、咀嚼が不要な状態にして提供するなど、食事の形状にも工夫がされています。

刑務所の管理栄養士になった理由

刑務所の管理栄養士として働こうと思った理由について伺うと、「資格を取った直後に出ていた求人がたまたま刑務所の管理栄養士だったから」とのことでした。1998年から現在に至るまで、ずっと刑務所で働き続けているそうです。

一般社会とは隔たりが感じられる特殊な場所であるため、刑務所内がどうなっているのかまったくイメージがつかなかったといいます。実際に働き始めてからは、毎日が戸惑いや驚きの連続だったそうです。

仕事の中で苦労したこと

入職したばかりの頃は、さまざまな心配事が頭を離れず、夜中に何度も目が覚めたそうです。たとえば、食事内容が原因で受刑者同士が喧嘩をしてしまうなど、些細なことでトラブルが起こることがあるといいます。給食がトラブルの原因になると、献立作りに関わっている身としては気が気ではなかったとのこと。

「◯◯は大丈夫だっただろうか」「△△はどうなっているのだろうか」と、気になることが多く、常に不安だったといいます。万が一トラブルが発生した場合、その原因を確認し、今後の献立作りに反映させるよう努めていたそうです。

刑務所の管理栄養士のやりがい

宮城刑務所では、近隣にある東北少年院、青葉女子学園、仙台少年鑑別所の3施設の給食作りも担当しています。食事提供の対象者が非常に多いため、給食センターのような役割を果たしており、そこに大きなやりがいを感じているそうです。

給食対象者の年齢層は10代から90代までと幅広く、同じメニューを提供しながらも、年代に応じて必要なカロリー量を調整しています。特に成長期の子どもには、牛乳やヤクルトなどを献立に加えて栄養バランスを調整しているとのことです。

宮城刑務所のように、複数の施設の給食を一括して作っている刑務所は全国的にも珍しく、この点が大きな特徴だと感じられます。

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