デフォルトモードネットワーク(DMN)とは?あなたのひらめきを支える、あえて「集中しない」という選択肢

「あなたのひらめきを支える、デフォルトモードネットワーク(DMN)とは?あえて「集中しない」という選択肢」ライター:秋谷進(東京西徳洲会病院小児医療センター)

論文や研究がうまくいかずに、以下のように自分のことを追い詰めてしまう方はいらっしゃいませんか?

  • 自分は創造性がない
  • いいアイデアが思い浮かばない
  • オリジナルが出せずに周りに抜かされている気がする

そんな悩みを解決する、脳科学から導き出された考え方の1つが、「デフォルトモードネットワーク(DMN)」というもの。
あまり聞きなれない単語ですよね。

しかし、DMNを知ることで、もっと簡単にアイデアが出せるようになることは間違いありません!

今回は、あなたのひらめきを支えるデフォルトモードネットワーク(DMN)について解説していきます。

最高のアイデアを引き出す「デフォルトモードネットワーク(DMN)」とは?

「デフォルトモードネットワーク(DMN)」とは、脳内で「記憶の整理と定着」を担当する部分のことです。

本来、アイデアはゼロから突然生まれて出てくるものではなく、既存の情報同士が絶妙なタイミングでつながってできるものと考えられています。
そして、その絶妙なタイミングを引き起こすのが「DMN」です。

では、どんなときにDMNが働いているのか。

例えば、何となく1つの事を頭の中で考えたときに、周りから「うわの空になっている」といわれたことはありませんか?
実は、この時こそDMNが働いている場面です。

DMNでは、頭の中で自分が自分に語りかけるように対話したり、問題を解決したり、未来の計画を立てるために、あらゆる過去の記憶と関連付け、最適な答えを出そうとします。

傍からみれば「ぼーっとしていて集中していない」ように見えるのですが、このDMNが一生懸命働いています。

実際に、研究によってDMNがアイデア創出に関与していることが示されており、例えば、創造性の高い人々ではDMNの活動が高まるのではないかと考えられているのです。

参照:Beaty, R.E., Kenett, Y.N., Christensen, A.P., Rosenberg, M.D., Benedek, M., Chen, Q.,… Silvia, P.J. (2018). Robust prediction of individual creative ability from brain functional connectivity. Proceedings of the National Academy of Sciences, 115(5), 1087-1092

デフォルトモードネットワークを引き出すには、散歩やお風呂が効果的?

では、DMNを効果的に発揮するにはどのようにすればよいのでしょうか。

ある研究によると、無意識のうちにDMNが働く瞬間が、「散歩、風呂場やトイレでリラックスしているとき」ではないかと考えられています。

机の上でうんうんうなっているよりも、思い切って散歩や体を動かしたり、ゆっくりお風呂につかってリラックスする方が、アイデアが出しやすいというわけですね。

かの「夏目漱石」もアイデアが煮詰まってしまったとき、東京大学一帯を散歩していたとして有名です。

では、なぜ散歩やお風呂につかってリラックスすることが、DMNを働かせるのに効果的なのでしょう。

実は、「モチベーション脳”やる気”が起きるメカニズム」によると、新しいアイデアが「ひらめく」とき、4段階を経て「創造性」として表出されるといわれています。
それが以下です。

  1. 準備期:問題の確認と整理する時期
  2. あたため期:一度問題から離れる時期
  3. ひらめき期:アイデアがひらめく時期
  4. 検証期:アイデアの精査をする時期

このうち、DMNが発揮するのは「あたため期」です。
あたため期では、問題解決に取り組むことを中断します。
いわゆる煮詰まった思考を、一度リフレッシュする期間に相当するといえます。
そこで、集中的に問題に取り組む状態と、何も考えない状態を行き来することにより、まったく新しいアイデアが創出されるというわけです。

このように、アイデアは単に情報を仕入れるだけでなく、リラックスした状態にすることで浮かびやすくなります。
実際に研究では、自然な環境での散歩が、創造的思考を促進すると示されています。

参照:
Atchley, R.A., Strayer, D.L., & Atchley, P. (2012). Creativity in the Wild: Improving Creative Reasoning through Immersion in Natural Settings. PLoS ONE, 7(12),e51474
大黒 達也。モチベーション脳: 「やる気」が起きるメカニズム (NHK出版新書 693)

デフォルトネットワークを活性化させるための他の方法は?

アイデアが浮かばないときは、散歩やお風呂に入る以外に以下の方法もあります。

  • コーヒーブレイク:短時間の休憩をとることで、脳の疲労が回復し、DMNが活性化されると報告されています。コーヒーに含まれるカフェインも、適量摂取することで集中力を高める効果があります。(飲みすぎには注意してください)
  • 瞑想:瞑想は、リラックス状態を作り出し、DMNを活性化させる効果があります。研究によれば、定期的に瞑想を行うことで、創造性や問題解決能力が向上することが示されています。
  • 趣味やアート活動:趣味やアート活動を通じて心を落ち着かせ、リラックスすることで、DMNを活性化させられます。絵画や音楽などのアート活動は、創造性を刺激し、新たなアイデアが生まれやすくなります。

参照:Colzato, L. S., Ozturk, A., & Hommel, B. (2012). Meditate to create: the impact of focused-attention and open-monitoring training on convergent and divergent thinking. Frontiers in psychology, 3, 116

デフォルトモードネットワークに関する「まとめ」

デフォルトモードネットワーク(DMN)を活用することで、アイデアがひらめきを引き出しやすくなります。
ちょっとした隙間時間に「スマホ」をするのではなく、発想を変えて、無意識に働くDMNを活性化させる方法を普段から試してみてください。
きっといいアイデアが出しやすくなりますよ!

自分に合った方法でリラックスし、創造性を高め、充実した人生を送ってくださいね。

秋谷進医師

投稿者プロフィール

小児科医・児童精神科医・救命救急士
たちばな台クリニック小児科勤務

1992年、桐蔭学園高等学校卒業。1999年、金沢医科大学卒。
金沢医科大学研修医、国立小児病院小児神経科、獨協医科大学越谷病院小児科、児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科、東京西徳洲会病院小児医療センターを経て現職。
専門は小児神経学、児童精神科学。

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