
東北電力は10月29日、東日本大震災以来運転を停止していた女川原発2号機の原子炉を起動し、再稼働させました。
女川原発は、震災の被災地に立地する原発としては初めての再稼働となります。また、福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)においても、全国で初の再稼働事例となりました。
2号機は出力82万5,000キロワットで、29日午後7時に原子炉が起動され、30日午前0時12分には核分裂反応が安定的に続く「臨界」状態に到達しています。東北電力は、11月7日に発電を再開し、12月頃には営業運転を開始する計画です。
林芳正官房長官は記者会見にて、「原子力は再生可能エネルギーと共に、脱炭素電源として重要だ。安定供給の観点からも安全性の確保を大前提に最大限活用を進めていく」と語りました。
震災から13年7ヶ月、被災地の原発再稼働は地域の復興と日本のエネルギー政策にとって大きな意味を持ちます。安全性の確保を大前提に、原子力発電の役割が改めて問われることになりそうです。
ネット上では、「様々な観点から見て今の日本に原子力発電は欠かせないのが現実」「治安の為にも早く全部再稼働してほしい」「良く頑張った東北電力と言いたい所だが、13年は掛かり過ぎ」などの意見が寄せられています。
原発再稼働、使用済み核燃料の貯蔵余力など課題は山積み
東北電力女川原発2号機が13年7ヶ月ぶりに再稼働しましたが、東日本大震災と向き合う被災者には、未だ不安が色濃く残る現実があります。5,700億円をかけて防潮堤や耐震性強化などの安全対策工事を行ったとはいえ、長期停止による不具合や使用済み核燃料の貯蔵余力など、課題は山積みです。
特に地域の視点から最も懸念されるのは、避難計画の実効性です。元日に発生した能登半島地震では、避難路の寸断や屋内退避施設の損壊などの問題が浮き彫りになりました。
同様の課題は、12月に再稼働予定の中国電力島根原発2号機でも指摘されています。島根県は原子力防災訓練で、道路寸断を想定した代替ルートの避難訓練などを予定していますが、住民の不安を払拭するのは容易ではありません。
原発回帰の路線と避難計画の対応の遅れを重ね合わせると、「どうせ起きない」という楽観論に逆戻りしていないか、という懸念を抱かざるを得ません。原発再稼働に対する現地の人の反応に注目が集まります。