中国の投資銀行「チャイナ・ルネッサンス・ホールディングス(華興資本)」は、2月16日の香港証券取引所への届出書類で、同社創設者であるバオ・ファン(包凡)会長と連絡が取れない状態になっていることを明かしました。
同社の取締役会は、バオ・ファン氏の失踪が同社のビジネスと関連していることを示す情報を何も入手していないとコメント。バオ・ファン氏の失踪に伴い、チャイナ・ルネッサンスの株価は17日朝に約50%下落しましたが、その後は少しずつ回復し、20日時点では16日との比較で約28%安となっています。
中国では以前から、大富豪や有名企業の幹部の失踪が相次いでいます。BBCによれば、「中国のウォーレン・バフェット」と呼ばれる復星国際の創業者であるクオ・クアンチャン(郭広昌)会長が、2015年12月に失踪したとのことです。しかし、その数日後には姿を現しています。
また、「中国のトランプ」という異名で有名な富豪レン・ジチャン(任志強)氏は、2020年3月に中国の最高指導者である習近平氏を批判したあとに、公の場から数カ月間姿を消しました。その後、レン・ジチャン氏は汚職の罪で懲役18年の判決を受けました。
中国の大富豪や著名な企業幹部が度々失踪していることから、中国に対する不安感が広がっています。ネット上では、「普通に怖すぎる」「有能な経営者が中国からいなくなっちゃうよ」「日本では考えられないことだ」などの意見が寄せられています。
アリババ創業者ジャック・マー(馬雲)の失踪事件
世界的なテクノロジー企業である中国企業アリババの創業者ジャック・マー(馬雲)氏は、2020年10月末に上海で開催された「2020フォーラム」に出席して以来、公の場に姿を現さなくなりました。この日、ジャック・マー氏は中国の金融規制制度を批判しました。
また、アント・グループが計画していた370億ドルの新規株式公開(IPO)が突然中止され、当局はアリババの電子商取引慣行に独占禁止法違反の疑いがあるとして調査に入ったとされます。
この事件に伴い、香港に上場しているアリババの株価が下落しました。しばらく姿を見せていなかったジャック・マー氏ですが、2022年には東京で再び姿を現しています。
そのほか、中国の投資会社である新城発展(Seazen Group)でも、2月10日の提出書類にて副会長のQu Dejun氏が失踪。このように中国では、有名企業の幹部失踪が相次いでいます。