国際刑事裁判所(ICC)、イスラエルとパレスチナの指導者らに逮捕状 戦争犯罪などの疑い

国際刑事裁判所(ICC)は21日、パレスチナ・ガザ地区での戦闘をめぐり、イスラエルとパレスチナの双方の指導者らに対し、戦争犯罪などの疑いで逮捕状を出しました。対象となったのは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相、ヨアヴ・ガラント前国防相、そしてイスラム組織ハマスのモハメド・デイフ司令官の3人です。

ICCは、彼らが戦争犯罪や人道に対する罪について刑事責任を負うと考える合理的根拠があると説明しています。この決定に対し、イスラエル側は一様に強く反発。イツハク・ヘルツォグ大統領は、ICCが「テロと悪の側に立つことを選んだ」と非難し、イスラエル首相府は「反ユダヤ的で偏見にまみれた決定」だと批判しました。

また、ユリ・エーデルシュタイン議会外交・防衛委員長は「恥ずべき決定」だと述べ、ギドン・サール外相はICCの正当性に疑問を呈しました。

一方、ハマスやパレスチナ聖戦機構、ガザの一般市民はICCの決定を歓迎。ハマスは声明で、「シオニストの戦争犯罪人であるネタニヤフとガラントに裁きを受けさせるため、裁判所に協力し、ガザ地区の無防備な民間人への大量虐殺という犯罪を阻止するために直ちに取り組むよう、世界中の全ての国に求める」としています。

ICCに加盟している日本やEU27ヵ国は、条約上の義務として、ネタニヤフ首相とガラント前国防相の逮捕に協力しなければなりません。これらの国々は、ICC締約国として、自国内に容疑者が入国した際には、ICCからの要請に基づいて容疑者を逮捕し、引き渡す法的責任を負っています。

イスラエルとパレスチナの対立が深まる中、国際社会による調停の行方が注目されます。ネット上では、「ICCの判断は正当だと思います」「逮捕状を実行する事が出来ないなら、あまり意味がない」「私はICCの決定を支持します」などの意見が寄せられています。

ガザの市民からは歓迎の声 「決定が履行されることを願っている」

ICCがイスラエルとパレスチナの指導者らに逮捕状を出したことについて、ガザの市民からは歓迎の声が上がっています。

ムハンマド・アリ氏は「私たちは危険にさらされ、飢えさせられ、家を破壊された。子供たち、息子や愛する人たちを失った。私たちは今回の決定を歓迎しているし、もちろん、ICCの決定が履行されることを願っている」と語りました。

一方、イスラエル国内では逮捕状発行に反発する声も。ロン・アッカーマン氏はICCを「ひたすら反ユダヤ的」だと批判し、ヘレン・カリヴ氏は「私たちは生き延びるために戦っているのに」と述べました。

ICCには124ヵ国が加盟していますが、イスラエルや米国、ロシア、中国は非加盟国です。理論上、ネタニヤフ首相らがICC加盟国に入国した時点で逮捕・引き渡しの対象となりますが、国際法の専門家らは実際に裁判にかけられる可能性を疑問視しています。

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