
イタリアのメローニ首相は9日にインドの首都ニューデリーを訪れ、中国の李強首相との間で重要な会談を行いました。その際、中国の経済戦略「一帯一路」からの離脱の方針を非公式に伝えたと、アメリカのメディア・ブルームバーグが10日に報じました。
中国外務省の発表では、この会談において「中国は引き続き市場へのアクセスを拡大し、イタリアの高品質な製品が参入する機会をさらに増やしていく」との方針を明らかにしており、一帯一路に関する具体的な内容には触れていません。
2019年には、イタリアはG7国の中で唯一、中国と「一帯一路」に関する覚書を交わしています。しかし、イタリアのタヤーニ外相は2日、「一帯一路は期待した成果をもたらさなかった」と述べるなど、イタリア側からの離脱の兆しが見えてきました。
次月、北京で「一帯一路」に関する国際フォーラムが開催される予定となっており、イタリアの離脱は中国にとって大きな打撃となる可能性があります。ブルームバーグによれば、イタリア側は中国の貿易に関する報復措置を懸念しているとのことです。
ネット上では、「イタリアの離脱の影響は大きいだろうし、ドミノ倒し的に総崩れになりそう」「ほかの国々も追随するかもしれませんね」「少なくとも岸田・林組より数段まともだ」などの意見が寄せられています。
「一帯一路」とは?構想に対する警戒感
2013年、中国の習近平国家主席は経済圏構想「一帯一路」を提唱しました。この構想における「一帯」は、中国からバルト海、地中海、インド洋に至る3つの陸路ルートを示し、「一路」はインド洋から欧州へ、さらに南太平洋に至る2つの海路ルートを示しています。
このルート上の主に発展途上国を中心とした国々で、鉄道や港湾をはじめとしたインフラ整備を推進する計画です。習近平氏は「一帯一路」の目的について、「開放型の世界経済システムを守り、多様で、自主的で、均衡のとれた、持続可能な発展を実現する」と述べました。さらに「地域協力を深化させ、文明の交流・相互参考を強化し、世界の平和・安定を守る」とも語りました。
しかし、米国やその他の西側諸国からは、この構想に対して警戒感が示されています。「債務のワナ」という問題点も指摘されており、中国からの融資が返済できなくなった場合、該当するインフラの運営権が中国国有企業に移るという懸念が浮上しているのです。
こうした懸念に対して、習近平氏は「国際ルールや標準を幅広く受け入れることを支持する」とコメントしています。しかし、中国経済の減速を緩和するため、「一帯一路」による経済圏の拡大が不可欠であるのが現状です。