台湾有事を見据えて、政府は沖縄県の宮古島にシェルターを設置する方針を固めました。来年度予算には、これに関連する費用が盛り込まれる予定です。シェルターの性能についてのガイドライン策定も進行中で、今年夏には有識者から意見聴取を始めるとのことです。
2022年12月に改定した「国家安全保障戦略」で、政府は国民保護体制の強化を掲げ、宮古島を含む南西諸島に「様々な種類の避難施設」を確保する方針が明記されました。南西諸島は、台湾と約110キロメートルの位置にある与那国島が最西端で、中国が台湾を侵攻した場合に影響を受ける可能性があります。
宮古島市は防衛省に、建設を予定している体育館の地下をシェルターとして活用するための財政支援を要求しました。市の計画によれば、約4,500人が3日間過ごすことを想定し、備蓄倉庫や自家発電機を設置するとしています。
シェルターの性能に関するガイドラインの策定に向け、政府は近日中に、危機管理や国民保護が専門の大学教授ら約10人の有識者を選出し、核・ミサイル攻撃を念頭に、施設の面積や壁の厚さなどについて基準を決定する方向です。
この件についてネット上では、「備える事は必要だと思う」「全ての対応が凄く遅すぎる」「備えあれば憂い無し」などの意見が寄せられています。
宮古島市長はシェルター設置に賛成 「大変うれしく思っている」
政府が台湾問題に対応し、避難シェルターの設置に本腰を入れる動きが明らかとなりました。宮古島の市長である座喜味一幸氏は記者団からの取材に、「緊急時の避難拠点が必要だと考えてきた。大変うれしく思っている」と感謝の意を表明しました。
中国軍の東シナ海での活動が活発化し、台湾海峡をめぐる緊張が高まる背景から、政府は南西諸島の住民避難対策に対して真剣に取り組む方向性を示しました。安全な地下施設が不足している宮古島市を踏まえ、市長は6月に、防衛省に対して新たな総合体育館とともに、緊急避難施設となる地下施設の早期整備を求める要望書を提出しています。
その動きについて、座喜味一幸市長は「シェルター機能となると、国が定める設計の基準などは地方自治体の財政基準では厳しいので、補助率も配慮してもらわないと現実的に進まない。今後、意見交換をしながら進めていくことになると思う」との見解を示しました。
また、施設について「報道ではシェルターとなっているが、緊急時の防災拠点。整備する動きとなったのはありがたい。緊急防災拠点として水や食料などの備蓄や有事の際には島民の移動などを指揮監督する場所になると考えている」と述べ、新施設の重要性を改めて強調しました。