暗号資産交換業者のDMMビットコインが事業の継続を断念し、廃業の方針を固めました。5月末に発生した482億円相当のビットコイン不正流出事件を受け、サービスの制限が長期化したことが背景にあります。
現在、DMMビットコインは45万の顧客口座と962億円の預かり資産を保有しています。これらの資産は、2025年3月頃にSBIグループの同業者であるSBIVCトレードに譲渡される予定です。
譲渡にあたり、SBIVCトレードは30億〜50億円程度を支払うとみられています。同社は現在70万程度の口座を有する中堅交換業者で、DMMビットコインの顧客基盤を獲得することで事業拡大を図ります。
DMMビットコインは不正流出事件後の6月に、グループ会社の支援を受けて550億円を調達し、流出したビットコインを全額保証するための資金を確保しました。
調達額の大半はグループ会社からの増資で賄われ、流出分のビットコインの購入は6月中旬に完了しています。しかし、サービス制限が長引く中、経営の立て直しは困難と判断されました。
今回の廃業決定により、DMMビットコインの顧客は新たな環境下で取引を継続することになります。SBIVCトレードへのスムーズな移行が期待される一方、暗号資産業界全体のセキュリティ強化が急務となっています。
ネット上では、「犯罪者に金が流れただけで終わったね」「廃業もやむなしでしょうね」「こうした事件もあるので顧客の資金を預かるサービスに参入するのはハイリスクハイリターン」などの意見が寄せられています。
DMMビットコイン、金融庁から「ずさんな管理実態」と厳しく指摘
DMMビットコインの仮想通貨管理体制の不備が、金融庁から厳しく指摘されました。同庁は9月、「暗号資産の移転などに関し、ずさんな管理実態が認められた」として、業務改善命令を発令しています。
仮想通貨交換業者への規制は近年強化されてきましたが、DMMビットコインは義務化されたコールドウォレットを導入していたにもかかわらず、運用面での欠陥により不正流出を招いてしまいました。
金融庁は業界の自主規制団体にも、流出リスクへの対応状況の自主点検を要請。業界全体で再発防止に向けた取り組みが求められています。
実際に、サイバー対策に特化した新組織の立ち上げの動きもあるとのことです。金融庁の指摘を真摯に受け止め、ユーザーの資産を守るための管理体制の見直しが期待されています。