思春期になった子どものSNS依存とトラブルを防ぐ家庭内ルールとは?

思春期の子どもの SNS依存と トラブルを防ぐ 家庭内ルールとは?

大人から子どもまで、スマートフォンやSNSは、私たちの生活にすっかり溶け込んでいます。

人と繋がったり、さまざまな情報を得ることができたりと私たちの生活にはなくてはならないものになっているのではないでしょうか。一方で、「つい長時間使ってしまう」、「危険な目に遭ったりする原因になる」といった声もあり、SNSとの付き合い方には難しい点もあります。特に、子どもや思春期の若者では、SNSのやりすぎが問題になったり、SNSの危険性が理解できていないせいで、トラブルになる危険性があります。

子どもがそんなトラブルに巻き込まれないために、保護者がSNSの利用について、利用時間や場所について制限をすることが多くなっています。しかし、そのようなルールが、子どもや思春期の若者のSNS依存やトラブルの防止に、どれくらい貢献しているかは十分な研究がない状態でした。

今回は、SNS利用のルールを家庭内で設けることが、SNS依存を防ぐうえでどのように働くのかについての研究をご紹介します。

【思春期の若者を2年間追跡】家庭内のSNSルールと将来のSNSトラブルの発生との関連を分析

これまでの研究では、保護者によるインターネットの利用のルール設定が、子どもや若者の健全なインターネット利用を助ける場合もあれば、逆に保護者の管理に対する反発や、隠れたインターネットの使用につながる場合もあることが分かっています。

そのため、単純にルールの有無で考えるのではなく、「どの年齢の子どもにどのようなルールを設けているのか」について研究することが重要であると考えられるようになりました。今回の研究では、それを明らかにするために、思春期の若者を2年間追跡して、家庭内のSNSルールと将来のSNSトラブルの発生との関連を分析しています。

*オランダ、Utrecht UniversityのSuzanne Geurts氏らによるデジタルヘルス分野の研究誌、Journal of Medical Internet Research (JMIR)における2025年9月の報告。

1.研究の方法

研究はオランダで行われました。研究の対象になったのは、315人の若者(平均年齢13.44歳、女子46.3%、男子53.7%)とその親(平均年齢46.4歳、母親55.4%)でした。データ収集は、2020年4月から2022年1月にかけて、6ヶ月ごとに4回行われました。調査では、若者のSNSの依存度や家庭内で保護者がどのようなSNS利用ルールを設けているかについて、詳細に尋ねられました。

SNS依存の調査については、時間の浪費感、学業や睡眠への悪影響、利用をやめられない感覚など、心理的・生活的影響を含む尺度で評価されました。さらに、若者の年齢や性別、親子関係の質、保護者のスマホへの過度な依存、保護者同士が育児で協力できているかといった要因も同時に調査し、これらの要因がSNS利用のルールがもたらす効果に、どのような影響を与えるかが分析されました。

2.研究の結果

まず、家庭内にSNS利用ルールがあるかどうかを単純に比較したところ、全体としては、「ルールがある家庭の方が問題的なSNS利用は起こりにくい」といった明確な効果は確認されませんでした。

しかし、分析を進めると、若者の年齢が、ルールの効果に大きな影響を与えることが明らかになりました。具体的には12歳前後のより若い年代では、家庭内にしっかりとしたSNS利用ルールがある場合、後にSNS利用トラブルが起きにくくなる傾向が見られました。一方で、15歳前後の年代になると、厳格なルールを設けられた若者は、より後のSNS依存の傾向を示すことが明らかになりました。思春期後半の若者は自立性を強く求める傾向があり、強い管理が保護者への反発を誘発したり、隠れてSNSを利用することにつながる可能性を示唆しています。

性別や育児態度、親のスマホ依存、保護者同士の協力関係などは、ルールの効果を大きく変える要因にはなりませんでした。

【児童精神科医から】インターネットに関する具体的なルール設定による予防効果は、若者の年齢が低いほど強まる

今回の研究で、SNSについてのルール設定が効果的な年齢があることが分かりました。一般的には、スマホを渡す前にルール設定をすること、渡してからのルール設定は難しいと言われていましたが、科学的にルール設定をする年齢が肝要なことが示されました。

小学校高学年から中学校にかけての時期には、保護者がSNS利用についてルールを作り、一定の枠組みをしめすことは、子どもをSNSトラブルから守るのに有効である一方、思春期後半の若者に対して厳しいSNS利用ルールの設定は、むしろ逆効果になる可能性が示されました。筆者の児童精神科外来にも、スマホやSNSにおける小児のトラブルの相談は多々ありますが、この結果は、保護者が子どもの発達段階に応じて、関わり方を柔軟に変えることの重要性を示唆しているといえます。発達段階の初期にはしっかりとルールを示し、思春期後半には子どもの自立心に配慮し、親子で対話し、自分自身でSNSの使い方を考えて、良い使い方を学ぶことが重要なのです。

参考文献:
Suzanne Geurts, Ina Koning, Regina Van den Eijnden, et al.Parental Internet-Specific Rules and the Onset of Adolescents’ Problematic Social Media Use: Prospective Study Testing Potential Moderators.J Med Internet Res.2025 Sep 18:27:e64252

秋谷進医師

投稿者プロフィール

小児科医・児童精神科医・救命救急士
たちばな台クリニック小児科勤務

1992年、桐蔭学園高等学校卒業。1999年、金沢医科大学卒。
金沢医科大学研修医、国立小児病院小児神経科、獨協医科大学越谷病院小児科、児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科、東京西徳洲会病院小児医療センターを経て現職。
専門は小児神経学、児童精神科学。

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