ドローンの産業利用が本格化 送電網をドローンの航路として活用

ドローンの産業利用が、いよいよ本格化しようとしています。グリッドスカイウェイ有限責任事業組合が、送電網をドローンの航路として活用するシステムを開発したのです。

このシステムは、2025年3月までに販売を開始する予定です。機体の貸し出しも行い、定額課金型のサービスとして収益化を目指します。

システム開発には、東京電力パワーグリッドをはじめとする送配電大手9社や、JR東日本、日立製作所などが出資。送電線の上空を飛ばすことで、ドローンの航路計画が立てやすくなるのが特徴です。

安全性確保のため、航路は送電線や樹木などと一定の距離を保つよう設定します。2024年度中に東京電力管内の埼玉県秩父市で約150キロの航路を整備し、2027年度には全国1万キロ超に拡大する計画です。

当初は電力インフラの点検用途での活用を見込みますが、将来的には物流会社や自治体にもシステムを販売します。物流のサービス化や災害時の被災状況確認などに役立てられそうです。

日本の地理的特性を生かしたドローンの新たな活用法。送電網という既存のインフラを有効活用しつつ、さまざまな分野でドローンが力を発揮する日も近いかもしれません。

2022年に「レベル4」が解禁、2023年12月に「レベル3.5」が新設

2022年には有人地帯での目視不要の「レベル4」飛行が解禁され、さらに2023年12月には「レベル3.5」が新設されました。これにより、道路や鉄道を横断する際も目視不要となり、送電線上空の利用がしやすくなりました。

物流分野では、変電所から住宅などに電気を届ける配電線の利用も検討されています。電力大手は送電線約8.8万キロ、配電線約129万キロを保有しており、JR東日本も自社で送配電線を保有しているため、ドローン活用の可能性は大きいでしょう。

日本のドローンサービス市場は、2028年度に5,154億円と2023年度比2.5倍に増加すると予測されています。特に、過疎地や災害時の支援物資輸送での活用が期待されており、セイノーホールディングスなどが北海道の一部や山梨県でドローン配送を実施しているとのことです。

海外に目を向けると、米国のアマゾン・ドット・コム社は2023年から一部地域で医薬品配送を開始し、英国やイタリアでも展開を広げています。日本の電力各社は、ドローン活用を新たな収益源として捉えており、送電網増強などの投資に充てたい考えです。

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