
トランプ大統領が、「男性」と「女性」の二つの性別のみを認める大統領令に署名しました。この決定は、前任のバイデン政権が進めてきた性自認の多様性を尊重する取り組みを大きく後退させるものとなります。
就任演説で、トランプ大統領は「本日をもって米国政府の公式政策は男性と女性の二つの性別のみを認めるものとする」と明言。政権当局者によれば、この大統領令は「性別イデオロギーの過激主義から女性を守り、連邦政府に生物学的な真実を回復させる」ことを目的としているとのことです。
また、連邦政府は「ジェンダー」という用語の使用を廃止し、「セックス(性)」に置き換えることになります。これにより、2022年以降、パスポート上で「X」を選択できるようにしたバイデン政権の施策は撤廃されることになります。
トランプ政権のこの方針転換は、性的マイノリティの権利擁護団体から強い反発を招くことが予想されます。実際、多様な性自認を持つ人々の尊厳と平等を脅かすものだと批判の声も上がっています。
一方、日本では「肉体の区別という点ではまっとうな政策」「身体的には男女しかないのだから、当然ですよね」「これがまっとうな考えだと思います」などの肯定的な意見が多く寄せられています。
2022年4月11日から米国のパスポートで「X」を選択に
2022年4月11日から、米国のパスポート申請者は性別欄で「男性」「女性」以外に「X」を選択できるようになりました。これは、バイデン政権が推進する多様性重視の方針の一環として、性的少数者の権利を尊重する措置です。
2021年6月、ブリンケン国務長官はパスポートの性別欄に男女以外の選択肢を増やす検討を開始すると表明。同年10月には、性別欄に「X」と記載したパスポートを初めて発行しました。
性的特徴があいまいな体で生まれたデーナ・ジム氏は、性別欄に「X」と記載された米国初のパスポートを受け取りました。デーナ・ジム氏は、パスポートの性別を男女に限定することは虚偽の申告を強いることになると訴訟を起こしていました。
米国では20州以上で運転免許証の性別欄に「X」を選択可能で、カナダやオーストラリアなどでもパスポートに同様の措置が取られています。
しかし、現在のトランプ政権下では、この方針は大きく転換されようとしています。性的少数者の権利をめぐる議論は、今後も米国社会の重要な課題であり続けることでしょう。