電通が27日に発表した「2022年 日本の広告費」によると、日本の総広告費が2007年以来15年ぶりに過去最高を更新しました。2022年の広告費は7兆1,021億円で、前年比104.4%になりました。
新型コロナウイルス感染症の感染再拡大やウクライナ情勢、物価高騰などの影響を受けつつも、社会のデジタル化を背景にインターネット広告の成長が見られています。また、コロナ禍による制限が緩和され、外食やレジャーを中心とした活動が活発化したことも、広告費の上昇につながっています。
2022年のインターネット広告費は、前年比114.3%の3兆912億円でした。それに対し、新聞、テレビ、雑誌、ラジオを合わせたマスコミ四媒体の広告費は、前年比97.7%の2兆3,985億円と、前年に比べて縮小しました。
マスコミ四媒体の広告費は2021年時点でインターネット広告費に抜かれており、2022年でその差がさらに拡大しています。
屋外広告や交通広告、折込広告などを含むプロモーションメディア広告費については、前年比98.3%の1兆6,124億円でした。コロナ禍からの回復に伴い、各種イベントや従来型の広告販促キャンペーンが再開しましたが、通年では減少しています。
ネット上では、「最近テレビをまったく見ないから納得」「広告費に7兆円もかけていたことに驚き」「4大メディアが落ちたというより、インターネットの伸びがすごい」などのコメントが寄せられています。
物販系ECプラットフォーム広告費は前年比17%増加
インターネット広告費は2019年からわずか3年で、約1兆円も増加しています。ここ3年でメディアへの露出の仕方が大きく変化したことがわかります。
なかでも、物販系ECプラットフォーム広告費の伸び方が顕著です。物販系ECプラットフォームの利用が消費者のなかで定着したことで、前年に引き続き増加しました。2022年の広告費は、1,908億円の前年比117%でした。
緊急事態宣言やまん延防止などが解除され、外出する機会が増えたことにより、コスメやファッション、スポーツ関連商品の購入が促進されたとのことです。
また物販系ECプラットフォーム広告費以外にも、インターネット広告媒体費に含まれるテレビメディアデジタルも大きく成長しています。広告費は358億円で前年比140.9%と、40%以上の伸び率となりました。
これは、ドラマなどの話題性によりTVerの再生数・ユーザー数が伸長したこと、それに加え、ABEMAでFIFAワールドカップカタール2022が放送されたことが影響しています。近年、テレビメディアデジタルはさらに勢いに乗っていることから、今後も広告費が増えることが予想されています。