
英公共放送BBCのティム・デイビー会長(58)は9日夜、辞任を発表しました。昨年10月に放送されたドキュメンタリー番組「パノラマ」において、トランプ米大統領の演説を恣意的に編集したなどの指摘が相次ぎ、国内外から「偏向報道だ」との批判が高まっていたためです。デイビー会長は声明で「いくつかの過ちがあり、私は会長として最終的な責任を取らなければならない」と述べています。
ニュース部門トップのデボラ・ターネス最高経営責任者(CEO)も同時に辞任を発表しており、BBC上層部の同時辞任は極めて異例となっています。英紙テレグラフが入手した内部文書によると、「パノラマ」は2021年1月の議会襲撃事件前に行われたトランプ氏の演説の2つの部分を改ざんしていました。
問題の編集では、トランプ氏の実際の発言「我々は議事堂まで歩いていき、勇敢な議員らを応援するつもりだ」という部分と、その54分後に述べた「死に物狂いで戦う」という発言が意図的につなぎ合わせられていました。これにより、トランプ氏が議会襲撃事件を直接指示したかのような誤った印象を視聴者に与える結果となっていたのです。
この問題が表面化した後、ホワイトハウスから「100%のフェイクニュース」「左派のプロパガンダ機関」と強く非難されたほか、ジョンソン元英首相や英国の複数の政治家からも厳しい批判が相次いでいます。さらにトランプ氏の法務チームはBBCに対し、11月14日までに番組の「完全かつ公正な撤回」を要求し、応じなければ10億ドル(約1543億円)の損害賠償請求を行うと通告しています。
BBC側もサミール・シャー理事長が英議会下院委員会への書簡で、編集について「判断の誤り」があったとして謝罪する姿勢を示しました。一方でBBCは、この問題が組織的な偏向を示すものではないと主張しており、今後の信頼回復に向けた対応を進めています。
政界からも相次ぐ批判、法的措置を警告
今回の辞任を受け、英国の政界からも関心が高まっています。英文化相のリサ・ナンディー氏は、BBCは信頼を回復するために「奮闘しなくてはならない」と述べ、特許状(憲章)の見直しが重要だと指摘しています。最大野党・保守党のナイジェル・ハドルストン影の文化相も、BBCには「偏向の事例が多すぎる」として、制度上の改変が必要だと主張しています
トランプ氏の対応はより直接的です。同氏はBBCに対する法的措置を警告するとともに、「適切に補償」することを求めています。自身のソーシャルメディアに「腐敗したジャーナリストを暴いてくれたテレグラフ紙に感謝する」と投稿し、BBCを強く非難しました。
デイビー会長は11日の全職員向けの会合で「いくつかの間違いを犯し、代償を払うこととなった。しかし、戦う必要もある」と述べ、公共放送としてのBBCを誇りに思っていることを強調。「自由な報道が圧力にさらされている」と語り、組織の独立性を守る姿勢を示しています。









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