
米国で「国民病」と言われてきた肥満の比率が大きな転機を迎えています。米調査会社ギャラップが10月末に発表した世論調査によると、2025年の米成人の肥満率は37.0%となり、2022年に39.9%のピークに達してから3年連続で低下したことが判明しました。肥満率の低下は、統計学的に有意な減少であり、3年前から760万人が肥満から脱却したと推計されています。
この著しい改善の背景にあるのが「GLP-1受容体作動薬(GLP-1薬)」と呼ばれる処方薬の急速な普及です。もともと血糖値を調整するインスリンの分泌を促す糖尿病治療薬として開発されていたGLP-1薬ですが、食欲を抑える効果があることから肥満症の治療薬として米国で広く利用されるようになりました。ギャラップの調査では、2025年の米成人の12%がGLP-1薬を使用しており、2年前から倍以上に増えています。成人人口が約2.6億人の米国では、約3,100万人がこれらの薬を活用していることになります。
肥満率の低下幅は年代別に大きな差が見られます。40~49歳と50~64歳の使用率がそれぞれ16%と17%で最も高く、これらの年代での肥満率低下幅も4~5ポイントと最も顕著です。米国では肥満に関連する医療コストが年間1,730億ドル(約27兆円)に上るとされており、肥満率の改善は医療費削減にも大きく寄与する見込みです。
このGLP-1薬市場の急速な拡大は、製薬業界に激震をもたらしています。米ゴールドマン・サックスはGLP-1薬の売上が2025年、米国だけで228億ドルに達すると見込んでおり、3.5兆円規模の一大市場へと成長しています。デンマーク製薬大手ノボノルディスクは「サクセンダ」や「ウゴービ」、米イーライリリーは「ゼップバウンド」などの製品で市場を主導してきましたが、米製薬大手ファイザーは肥満症薬の開発で後れを取っていました。ファイザーは経口タイプのGLP-1薬開発を、肝臓への毒性問題により2025年4月に断念していたのです。
トランプ政権が薬価引き下げに介入、市場が新たな局面へ
トランプ米大統領は、肥満症薬の高額な薬価問題に直接介入し、劇的な価格引き下げを実現させました。トランプ政権は政府公認の処方薬直販サイト「トランプRx」を通じて、これまでの数分の一から10分の一の大幅な引き下げ価格での販売を発表しています。
さらに、ファイザーは肥満症薬開発企業のメッツェラを100億ドル超の買収で合意し、市場参入を急いでいます。このように製薬大手による買収合戦が激化している中、米国ではメディケイドなどの公的医療保険への適用拡大も進められており、肥満症治療へのアクセス改善が急ピッチで進んでいます。GLP-1薬は肥満率低下という数値的な成果だけでなく、医療費削減と医療市場の構造変化をもたらす改革の先陣を切っています。








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