
東京証券取引所で上場する市場区分を変更する企業が急増しています。2025年は35社と前年の4倍超になる見込みで、東証が市場を再編した2022年以降で最多となりました。東証プライムとグロースからスタンダードに変更した企業が7割を占めており、上場維持の数値基準を満たすことが比較的容易なスタンダード市場に移る動きが強まっています。
東証は2022年4月にプライム、スタンダード、グロースの3市場に再編しました。市場再編当初の2022年や2023年には、グロース企業が機関投資家の投資対象になりやすいプライム市場に移る例が多く見られましたが、2025年はこの傾向が大きく変わりました。
この変化の背景には、各市場の上場維持基準を満たしていない企業でも上場を維持できる「経過措置」期間が2025年3月に終了したことがあります。3月1日以降に最初に迎える決算期末を基準日とし、基準未達の場合は改善期間に入ります。その1年後の決算期末時点でも未達であれば監理・整理銘柄に指定され、上場廃止に至る仕組みです。
2025年の市場変更の内訳を見ると、プライム市場からスタンダード市場に移る企業が13社と最多でした。東邦アセチレンやぐるなびなどがその代表例で、両社はプライム上場基準の一つである「流通株式時価総額100億円以上」が未達であることを理由に挙げています。
グロース市場からスタンダード市場への移行も13社に上り、ネクストジェンなどが該当します。グロース市場は3市場で唯一、時価総額の上場維持基準を設けており、上場10年経過後で40億円以上が必要です。ネクストジェンは市場区分変更の申請前、この条件が未達と公表していました。
さらに東証は今後、グロース市場の基準を厳しくする方針です。2030年以降は「上場5年経過後で時価総額100億円以上」を求めることになります。現在グロース市場に上場している約600社のうち、時価総額100億円未満は足元で7割を占めており、大和総研の神尾篤史主任研究員は「グロース上場が厳しいと判断する企業がスタンダードを選ぶ動きは緩やかに増えるだろう」と分析しています。
12月には、クスリのアオキホールディングスが東証プライム市場からスタンダード市場への区分変更を申請すると発表しました。同社は中長期的な成長や経営効率を優先し、より適切な市場区分のもとで企業価値向上に取り組むとしています。また、地盤ネットホールディングスも12月25日に東証の承認を受け、2026年1月6日付で東証グロース市場からスタンダード市場へ上場市場区分を変更します。
上場廃止リスクと企業の選択
経過措置終了により、基準未達の企業は上場廃止のリスクに直面しています。改善期間内に本来の上場維持基準に適合しない場合、原則として1年間の改善期間を経て、その後も基準に適合しなければ監理銘柄・整理銘柄に指定され、最終的には上場廃止となります。
企業にとって上場維持のためには、基準が比較的緩やかなスタンダード市場に移ることが有力な選択肢となっています。アクシージアのように、2023年にグロース市場からプライム市場へ昇格したばかりでありながら、わずか2年強で再度スタンダード市場へ変更するケースもあり、プライム市場維持の難しさを象徴しています。








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