歌手や演奏家にもBGM使用料 文化庁が新権利導入へ、海外展開後押し

歌手や演奏家にもBGM使用料 文化庁が新権利導入へ、海外展開後押し

文化庁は1月9日、新たな法的権利「レコード演奏・伝達権」の導入方針を文化審議会に提案しました。商業施設で流れるBGMの使用料を作詞・作曲家だけでなく、歌手や演奏家、レコード会社も受け取れるようにする制度です。

飲食店や小売店、イベント会場などでBGMを流した場合、現行制度では作詞家や作曲家などの「著作権者」にのみ使用料が支払われます。歌手や演奏家といった「実演家」、レコード会社など「著作隣接権者」には報酬を請求する権利が認められていません。新制度ではこれらの権利者にも使用料を広げる方針です。

この新権利は海外ではすでに主流となっており、欧州や韓国など142カ国・地域で導入されています。 しかし日本では商業施設側の負担増を懸念する声もあり、議論が後回しにされてきました。

J-POPの海外での人気は拡大を続けています。2025年、音楽配信サービス「Spotify」における国内楽曲の海外再生回数は前年比2割以上増加し、累計再生回数1億回を超えた国内楽曲も200曲を突破しました。

ビルボードのグローバルチャートではYOASOBI、Creepy Nuts、米津玄師らの楽曲が上位に食い込み、Creepy Nutsの「オトノケ」は海外で最も再生された国内楽曲として2年連続首位を獲得しています。

こうした海外人気の高まりは、新制度が導入されれば収益にも反映されます。文化庁の調査によると、2024年にレコード演奏・伝達権が導入されていた場合、同年に日本の歌手が海外から得られた収入は24億円と試算。市場が年10%拡大し、日本楽曲のシェアも広がれば、2034年には139億円に達する見通しです。

政府は日本のコンテンツ産業を新たな基幹産業と位置づけ、2033年に海外売上高を現在の約3.5倍となる20兆円にする目標を掲げており、新たな権利の導入によってコンテンツ産業全体の底上げを図ります。

制度設計の課題と今後の展望

新制度の具体的な運用方法は、著作権法改正案の成立後に議論される予定です。国が著作隣接権の管理業務の実施団体を指定し、この指定団体が使用料の金額や徴収対象の詳細を決めることになります。

国内では現在、著作権者へのBGM使用料は日本音楽著作権協会(JASRAC)が徴収し、作詞・作曲家らに分配しています。金額は店舗面積などに応じて決められており、500平方メートル以下の店舗なら年6000円程度です。

新制度では、指定団体が同様の手法で徴収・分配することも想定されます。海外の例をみると、同規模の店舗面積で韓国は年約7万4000ウォン(約8000円)、ドイツは年約166ユーロ(約2万7000円〜3万円)となっています。

文化庁は文化審議会の最終的な取りまとめを受け、23日召集予定の通常国会に著作権法改正案を提出する方針です。

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