ANAホールディングス、2028年度までにドローン物流を全国展開へ

ANAホールディングス、2028年度までにドローン物流を全国展開へ

ANAホールディングス(HD)は、2028年度までにドローンによる物流事業を全国規模で展開する計画を発表しました。半径500キロメートル程度のエリアがカバーできる離着陸拠点を各地に構築し、平時は離島などへの医薬品や生活物資の配送、災害時には孤立地域への食料輸送など、新たな社会インフラとしての役割を目指します。

計画では、米スカイウェイズ社が手がける長さ3メートル、翼幅7メートルのドローンを採用します。この機体は離着陸時にモーターで8つのプロペラを、巡航時にはエンジンによる動力でプロペラを回す仕組みで、一度に約50キログラムの荷物を運ぶことが可能。最大航続距離は約1,600キロメートルに達し、原則として自動で運航し、遠隔で人が監視や制御を行う形式です。

ANAHDは離着陸拠点を年間1〜2カ所ずつ増やし、各拠点に10機程度を配備する方針です。災害時には、ドローンに搭載したカメラで被災状況を確認したり、交通が遮断された地域に救援物資を運んだりする活動も想定しています。

すでに沖縄県などで実証実験を重ねており、事業を担当する津田佳明・上席執行役員は「離着陸拠点から半径500キロメートルを『面』と捉えて荷物を運べれば、配送先は無数に広がる。未来の社会インフラに育てたい」と話しました。

2022年12月に改正航空法が施行され、住宅地などの有人地帯を目視なしに自律飛行させる「レベル4飛行」が解禁されました。この法整備により、これまで実証実験が中心だった国内のドローン物流が、実用化に向けて大きく前進しています。

海外では先行する実用化、日本は安全性を重視

ドローンによる物流事業は、中国の深センなどで実用化が進んでいます。中国のデリバリーサービス大手である美団(メイトワン)は深セン市などでドローン配送を本格展開しており、従来の配送と比較して大幅な効率化を実現。アメリカでもAmazonが2022年よりドローン配送サービス「Prime Air」を開始しました。

一方、国内では2023年3月、日本郵便が東京都奥多摩町で国内初のレベル4飛行による配送実証試験を実施しました。約1キログラムの荷物を約5分で届けることに成功しています。佐川急便も2024年に東京都内初のレベル3.5飛行を成功させるなど、物流大手企業を中心に実証実験が活発化しています。

しかし、日本では実用化されたケースがまだ少なく、ANAHDは離島が多い沖縄や九州で一定の需要があるとみて、安全性なども検証しながら事業化を進める方針です。ドローン配送における安全性への懸念、機体の落下リスク、盗難防止対策など、解決すべき課題も多く残されています。

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