
海洋研究開発機構(JAMSTEC)の地球深部探査船「ちきゅう」が1月12日午前9時過ぎ、静岡市の清水港を出航しました。海底6000メートルからレアアース泥を連続的に採取する世界初の実証実験に向けた歴史的な航海の始まりです。
この実験は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「海洋安全保障プラットフォームの構築」の一環として実施されます。プログラムディレクターの石井正一氏は出航前の取材で「調達源の多様化、特定国に依存しない調達を考えている。その一つの方策として国産レアアース実現に向けてのプロセスがある」と経済安全保障上の意義を強調しました。
「ちきゅう」は東京から約2000キロ離れた日本最東端の南鳥島周辺に向かい、約1週間で現地海域に到着する予定です。船体中央にそびえる高さ約130メートルのやぐらを使い、排他的経済水域(EEZ)内の海底約6000メートルまでパイプを下ろします。
南鳥島周辺の海底には、レアアースを高濃度に含む泥「レアアース泥」の存在が確認されています。周辺海域約2500平方キロメートルだけでも埋蔵量は約1600万トンに達し、これは世界第3位の規模です。
レアアースはスマートフォン、電気自動車のモーター、風力発電機、LED照明、医療機器などの先端技術を支えています。しかし日本はレアアース輸入の60〜70パーセントを中国に依存しており、特にEV用モーターに使用されるジスプロシウムやテルビウムについては、ほぼ100パーセントを中国からの輸入に頼っている状況です。
今の状況をさらに切迫させているのが、中国商務部が1月6日に発表した軍民両用(デュアルユース)品の対日輸出規制強化です。同措置は発表と同時に施行。全ての軍民両用品について、日本の軍事ユーザー向けや軍事利用目的での輸出が全面禁止されました。レアアースを含む戦略物資への規制拡大が懸念されるなか、国内資源開発への期待が高まっています。
2027年本格採鉱に向けた技術実証試験
今回の試験では、船から注入した海水の圧力でレアアース泥の回収に用いる採鉱システムを検証します。石井プログラムディレクターは「2027年2月に本格的な1日あたり350トンの採掘に挑戦するため、事前段階の機器性能確認をメインに行う」と説明。試験は2月14日まで実施され、成功すれば産業開発に向けた検討が進む予定です。
深海6000メートルという過酷な環境での採鉱という技術的挑戦と、中国依存からの脱却という戦略的課題。世界各国がレアアースの調達先多様化を模索するなか、南鳥島プロジェクトの成否に国内外の関心が集まっています。









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